[2020年5月4週号]
【北部】久慈市畑田の大鹿糠正行さん(43)は、ハウス4棟(4・8㌃)で菌床シイタケを栽培している。菌床ブロックの自家製造を始め、購入費用削減につなげた。また、シイタケの収量アップを目指してハウス内の温度管理を徹底している。消費者の需要に合わせて栽培品目を増やすため、作業効率化や経費削減を心掛ける。
大鹿糠さんは大学卒業後、東京の企業に就職したが「いつかは家業を継ぎたいという気持ちがあった」と2005年に実家に戻って就農。父・正さん(70)から農業を教わりながら、新たに菌床シイタケ栽培も開始した。「春に植菌した秋取りと秋に植菌した春取りのシイタケをJAに出荷している」と話す。
2019年3月に菌床ブロックを製造する機械を導入した。木製チップや米ぬかなどを機械に入れ、混ぜ込んで機械から排出されたものを袋に入れる。蒸気で滅菌処理をして冷却した後、クリーンルームでシイタケを植菌。ハウス内で5カ月ほど培養させてから収穫する。大鹿糠さんは「ブロックは1日当たり500個袋詰めをして、3日かけて製造する」と話す。ハウス1棟当たりに、約6千個から7千個の菌床ブロックがあるという。
「当初は菌床を購入していたが、購入費用が大きかった。自分で作ることで、購入費用の削減につながった」と大鹿糠さん。「収穫したい時期や期間などに合わせて原料の配合を変えることで、独自の菌床ブロックを作ることができる。1つのブロックから1㌔以上のシイタケを収穫することが目標。短期間で収穫量が多い菌床ブロックを作りたい」
ハウス内の温度管理にも気を配るという。「収穫時期の室温は13度程度に保っている。栽培に適した温度は時期によって変わるが、特に冬期間はハウス内が冷えないように管理している」
重要なのは経費削減
大鹿糠さん方では、菌床シイタケのほか、水稲8㌶やリンゴ2㌶、ハウス5棟(10㌃)を使用して花きなども栽培している。リンゴの品種は「ふじ」など6品種。花きは、需要が高い盆や秋彼岸の時期に合わせて出荷する。「どんな作物でもリスクは伴う。時代の流れに柔軟に対応できるように、需要を見極めてもっと栽培品目を増やしたい。そのためには、作業の効率化や
経費削減は重要。地域を支える産業として法人化を目指したいし、これからもやりたいことにチャレンジする農家でありたいと思っている」と力を込める。