【新聞:岩手版】フルーツほおずき 契約栽培で拡大へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】フルーツほおずき 契約栽培で拡大へ

[2019年9月2週号]

 【宮古】岩泉町で食料品の販売や加工を行う有限会社早野商店(早野貫一代表取締役)では、岩泉町を中心に「フルーツほおずき」の契約栽培を進め、生産者と連携した生産拡大を目指している。商品は県内外の百貨店などに出荷。販路を拡大するため、収穫量の増収に向けて取り組んでいる。

 「フルーツほおずきのシェア日本一を目指して、岩手の新たな特産品となる商品を展開したい」と話すのは、同社の早野崇さん(47)。妻の由紀子さん(45)がフランス旅行でフルーツほおずきを食べ、これまでに味わったことのない複雑な味に感動したという。そこで、フルーツほおずきの魅力を伝えようと、2008年から本格的に事業を始めた。

 県内での栽培事例はなく、栽培方法が確立されていない中からのスタートだった。「生産者の募集広告を新聞に折り込むところから始めた」と振り返る。

「例年より15日ほど生育が遅れている。実の周囲の葉を落として色づきを良くしている」と佐々木さん

苗を契約農家に配布

 フルーツほおずきの苗は、同社が手配し契約農家に配布。九戸村、久慈市、野田村、岩泉町、大船渡市、陸前高田市の6市町村の契約農家15戸が、約2500株を栽培する。8月下旬から11月上旬にかけて、年間約2㌧を収穫。早野さんは「収穫量の3割を生食用に出荷し、残りの7割が加工品になる」と話す。

 岩泉町の佐々木時治さん(87)は、妻の静さん(81)と2㌃の畑で200株のフルーツほおずきを栽培する。「7月の天候不順の影響で、例年より生育が遅れたが、これから熟す実のためにも晴れの日が続いてほしい」と、佐々木さんは9月の好天を期待する。

収穫間近のフルーツほおずき

 生食用のほとんどは県内外の百貨店や飲食店に出荷。ジャムなどの加工品は県内外の物産展などで販売し、好評を得ている。

 早野さんは「フルーツほおずきの需要は年々伸びており、年間2㌧の収穫量では全く足りない。10倍の収穫量20㌧を目指すために県内全域に契約栽培農家を増やしていきたい」と意気込む。


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