【新聞:岩手版】リスク分散へ30品目栽培

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】リスク分散へ30品目栽培

[2022年10月2週号]

オクラを収穫する竹田さん。「必要な野菜だけを購入してほしいので、収穫できるものから選んでもらい、詰め合わせにして販売している」

 【中部】花巻市高松の竹田耕士さん(46)は、ナスやピーマン、ミニトマトなど約30品目の野菜を露地で栽培。少量多品目取り組むのは、リスクを分散させるためだ。「台風被害や病害などが発生しても、全滅を防ぐことができる」と竹田さん。農薬や農業機械をほとんど使用しない栽培管理を心がけ、出荷した野菜は客から好評を得ているという。

 竹田さんは2008年まで会社員として働いていたが、「仕事の悩みなどが重なり、農業に挑戦しようと考えた」。野菜ができる様子さえ知らなかったため、会社を退職後に1年間の自主研修期間を設け、独学で農業を勉強した。

 09年に就農し、現在は約15㌃の圃場を借りている。「ゼロからのスタートだったので、発芽させられないなど失敗ばかりだった」と当時を振り返る。

 「農業用機械のない時代は、手作業と自然栽培で作物を育てていた。自分のできる範囲で農薬や機械に頼らない農業をしたい」と竹田さん。鶏ふんを肥料にして、除草剤や殺虫剤は使わない。一部の草刈りで機械を利用するものの、畝立てや耕起などは手作業だ。

シカの食害対策として防獣用ネットをかぶせる

 畑の草はすべて刈り取らず、一定の高さで残す。野菜を食害するテントウムシダマシなどが食べる葉を残すことで、被害の減少につながるという。

 土中の水分が蒸発するのを妨げないよう、マルチは使わない。「近くの畑と比べて、今夏の長雨の被害をあまり受けなかった」と効果を実感する。

 竹田さんの野菜は、希望者へ定期販売するほか、同市内で姉が営むパン店の店頭に並ぶ。客からは「味が濃くておいしい」と好評だという。竹田さんは「買ってもらえると、自分の野菜が認められたような気持ちになりうれしい」と笑顔を見せた。


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