【新聞:岩手版】乳房炎 大幅に減少

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】乳房炎 大幅に減少

[2020年5月2週号]

 

「自宅で培養検査をすると次の日に結果がわかるので助かります」と菅原さん

 【磐井】「勉強会で学んだ知識を活かして搾乳の手順を見直し、乳房炎が今までの3分の1に減少した」と話すのは、一関市大東町大原の菅原雅継さん(37)。また、乳汁の細菌培養検査を自ら行い、病気の早期発見に役立てている。「努力が目に見えて結果に結びつくので、酪農を始めて良かった。今後は分娩間隔を短くすることと、1頭当たりの乳量を増やすことが目標」と話す。

 大学卒業後、東京で就職した菅原さんは「実家の酪農に携わりたい」と、2010年に就農した。現在は菅原さんの両親、妻とともに搾乳牛、育成乳牛をそれぞれ約25頭ずつ飼養。「何も分からない状態からのスタートだった。父に酪農を教わりながら、勉強会やほかの農家の見学にも積極的に参加して技術を学んだ」と振り返る。

 勉強会で学んだ成果が搾乳手順の見直しによる乳房炎の減少だ。現状を把握するため、自宅で乳房炎の原因菌を培養して特定する培養検査を始めた。乳房炎の疑いがある牛から絞った生乳をスピッツ管に絞り、4分割にされたシャーレの培地に塗り、37度の保温器に置く。18時間後から原因菌が発生し始めるので、シャーレ内の菌の発生状況で原因菌を特定することができるという。

培養検査に使用する保温器

 「培養検査は病気の早期発見と治療に役立っている。乳房炎の再発が減って完治するケースが増えた。廃棄する生乳、廃用にする牛が減ったことがうれしい」

 繁殖成績を向上させるため、19年に授精師の資格を取得した。また「過去の記録を治療に生かすことができる」と、牛舎にある台帳とホワイトボードには、牛ごとの発情や種付月日のほか、乳汁検査の結果なども細かく記録している。


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