【新聞:岩手版】作業負担軽く効率化 作物の環境は最適に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】作業負担軽く効率化 作物の環境は最適に

[2021年11月3週号]

 【中部】花巻市石鳥谷町の中村修さん(59)は、野菜の輪作やビニールハウス内への自動潅水装置の設置、水稲の直播などに取り組み、農作業負担の軽減と効率化につなげている。農業の指導役「農の匠」を務める中村さんは、「新規就農者には、自分のやり方をもとに農業のアドバイスをしている」と話す。

 中村さんは水稲1㌶とリンゴ60㌃、ハウス7棟(27㌃)で野菜を栽培する。農作業の負担を軽減しようと、水稲は7年前から直播栽培に取り組む。「苗箱運びなどの作業が減って楽になり、育苗作業が必要ないので作業時間が短縮できた」と話す。

「天候は毎年違うので、それに順応していい作物ができたときはうれしい」と中村さん

 「通年で収入を確保するため15年前に野菜の栽培を始めた」と中村さん。ハウスでは、レタスと大玉トマトを輪作で栽培し、連作障害を防いでいる。

 「トマトのような果菜類はカリウムを好むので、施肥によって増えたカリウムを吸収してくれる。そのため、土中の養分がバランスよく保たれる」

「通年収入」を助言

 10年前には自動潅水装置をハウス全棟に設置した。天候や生育状況に応じて水と液体肥料の分量を設定し、全自動で潅水する。

 「自動潅水装置を設置したことで、空いた時間をトマトの脇芽かきなどの作業に充てられる。導入費用はかかるが、作業負担と効率を考えると安い」。

 中村さんは「大学で農業について学んだが、就農してからが本当の勉強だった。現場から学ぶ技術が多く、天候や生育状況を見ながら作物にとってベストな環境を把握する必要がある」と話す。

「新規就農者には、農作業の負担の軽減や通年での収入確保に力を入れるようにアドバイスをしている。自分も元気なうちは農業を続けていきたい」と意欲的だ。


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