【新聞:岩手版】効率化・病気予防に成果

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】効率化・病気予防に成果

[2020年10月1週号]

 【胆江】加工用トマト「すずこま」を20㌃で栽培する奥州市江刺田原の特定農業法人(農事)上小田代では、水や肥料を循環させて与えるシステムをハウス4棟に導入し、効率的な水やりや病気の予防などに成果を上げている。トマトはピューレに加工して販売。さらなる販路拡大を目指す。

地下のパイプから水や肥料を与え、タンクで水を循環する

 同法人は2010年に設立。現在は従業員9人で、水稲18㌶、大豆8㌶、キュウリ50㌃などを栽培する。12年から加工用トマト「すずこま」の栽培を始めた。

 「試験栽培をしたところ、栽培が比較的簡単で収量も多かった」と同法人の伊藤周治代表。

 15年には地下水位制御システム「FOEASとOPSIS(フォアス)」と畑地用地下灌漑システム「OPSIS(オプシス)」を導入した。

 FOEASは、地下に埋め込んだパイプを使って排水を管理。伊藤代表は「もともとは水田だったので、水はけが悪かったが、導入後は改善した」と話す。OPSISは、パイプ内に水や肥料を循環させて与える仕組みだ。「循環させた水はタンクに戻って再利用できるので、節水につながった。必要最低限の水の量でトマトにムラなく水を与えることができる」

 システム導入前は水やりの際にトマトに泥がつき、病気になることがあったという。「現在は地下のパイプから水を与えるので、泥跳ねがなくなり病気の発生も減った」

加工用トマト「すずこま」

6次産業化の要に

 加工用トマトは、同法人の工房でピューレに加工する。「熱を加えることで鮮やかな赤色になって甘みと酸味を増すのが特徴」と伊藤代表。インターネット販売のほか、レストランや市内のホテルなどにも出荷する。「今年は新型コロナの影響で出荷が止まってしまった。先月からは少しずつ注文が増えてきた」と期待を込める。

 9月には収穫体験や加工品の試食販売などのイベントを開催した。伊藤代表は「すずこまは6次化の要。今後も栽培に力を入れたい」と意気込む。


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