【新聞:岩手版】安全・安心の雑穀栽培

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】安全・安心の雑穀栽培

[2019年5月2週号]

【北部】農薬を使用せずに人や動物、環境に優しい雑穀の契約栽培に励んでいるのは、軽米町軽米の「尾田川農園」(尾田川勝雄代表=66歳・従業員6人)。エゴマの苗の無料配布で契約農家の負担を軽減させ、規模を拡大し、良質な雑穀栽培に取り組む。

有機玄米クラッカーを手に「栄養満点で安全・安心な無農薬の雑穀を消費者の方々に提案したい」と尾田川代表

 「当時4歳だった娘にアレルギー症状が出たことで、農薬や化学肥料が及ぼす害があることを知った」と尾田川代表。県北地域で昔から親しまれ、栄養価の高い雑穀に注目した。講習会に通い、有機栽培の管理責任者の資格を取得。「無農薬で栽培することが環境保全につながり、人や動物のより良い生活に結びつくと思った」と話す。

契約農家と同じ目線で

 同園では、生産者と契約して雑穀を栽培する。中でも、エゴマの苗はJAの育苗センターで育て、契約農家に無料で配布。播種作業は、尾田川さんをはじめ農園スタッフが行う。

 「生産者には高齢の方が多いので、経費も労力も削減してあげたい。苗を畑に植えることで、種を直播きした場合と比べて除草作業の手間が1割ほどで済む。大切な契約農家の方々と同じ目線で仕事をしている」と尾田川代表は話す。

育苗センターで行われた播種作業(昨年)

 1993年に契約栽培を始めた当時は2戸だった契約栽培者数は、現在300戸、面積は30㌶まで増加した。

もみ殻は牛の飼料に

 「体に優しい飼料を動物にも食べさせたい」と小鳥の飼料専用の特別契約栽培も手掛けている。また、農薬不使用で栽培した雑穀のもみ殻は、牛の飼料として無駄なく使う。

 尾田川代表は「人にも動物にも安全・安心な栽培を徹底し、今後も品質を維持していきたい。災害や環境の変化など課題はあるが、いつも負けずに良質なものだけを、生産者とともに消費者に届けていきたい」と力強く話す。


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