【新聞:岩手版】思いをつなぎ丁寧に管理

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】思いをつなぎ丁寧に管理

[2022年9月3週号]

 【胆江】「夫が大好きだったブルーベリーを守っていきたい」と話す金ケ崎町永沢の松本ヤエ子さん(70)。3年前に亡くなった夫の典昭さんは、専業農家として米を生産する傍ら、ブルーベリーを20年以上栽培していた。ヤエ子さんは農業に接していなかったが、一から勉強を重ね、典昭さんのブルーベリー栽培を引き継いだ。

 ヤエ子さんはおよそ30㌃の圃場で、20品種のブルーベリーを栽培する。主な品種は、寒冷地での栽培に適し、甘酸っぱさが特徴のノーザンハイブッシュ系「アーリーブルー」や「ブルークロップ」。国内では主に北海道や東北地方で栽培される。

「地域の幼稚園児を招いて摘み取り体験をさせている」とヤエ子さん

 「ブルーベリーは剪定が一番大事」とヤエ子さん。日当たりと風通しを良くするため3月下旬から4月にかけて不要な枝を落とす。これで果実を大きく甘くすることはできるが、収量が減るため、剪定枝の加減には特に苦労するという。

 近年は虫害対策に気を配る。花が咲く前の4月からマイマイガの幼虫が枝を中心に発生し、葉を食べ尽くす。葉がなくなると花が咲かず実がつかない。「農薬はあまり使いたくない」というヤエ子さんは、割り箸で幼虫を駆除する。「圃場をすべて回るのに2日かかるが、手間を惜しまずに続けることが大切」

 乾燥にも注意が必要だ。木の根元の土が乾燥すると水分を吸収できず果実が縮む。乾燥を防ぐため、松の樹皮を粉砕したものや、圃場内で刈った草を根元にまくなどの対策をとる。

 収穫後は町内のスーパーに出荷。「夫が大好きだったブルーベリー栽培を簡単に終わらせたくなかった。まだ上手に栽培できていないが、夫に笑われないように守っていきたい」と力を込める。


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