【新聞:岩手版】思い出に残る味を造る

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】思い出に残る味を造る

[2020年10月3週号]

 【中部】花巻市大迫町の鈴木寛太さん(29)は、ワイン用ブドウ「ロースラー」を栽培し、自身が手掛けたブドウを使用した「KANTA WINE」を販売する。「ロースラーは繊細な品種。栽培技術を磨きながら、ワインの製造本数を増やしたい」と意気込む。

「新規就農者にも手厚くアドバイスをくれる方ばかり。そこも大迫町の魅力」と鈴木さ

 鈴木さんは地域おこし協力隊でブドウ産地を盛り上げる活動をしたのち、2018年に花巻市大迫町で就農した。現在、ロースラー20㌃と、生食用「キャンベル・アリー」10㌃を栽培する。

 ロースラーはオーストリア原産で、花巻市の友好都市であるベルンドルフ市から苗木を譲り受けた。

 「国内では大迫町で10人ほどの農家しか栽培していない、大変貴重な品種」と鈴木さん。皮が薄い品種のため栽培管理が難しいという。「雨に当たるとすぐに皮が破れてしまうので、長雨の予報が出たら早めに収穫の準備をする」と話す。

 糖度は約17~18度。糖度を上げるために小まめな摘果を行い、1本の枝に1~2房ほどの数に保つ。

「KANTA WINE」720㍉㍑2700円(税込み)。ラベルのデザインはその年の生産状況などに応じて変わる

和食にも合うと好評

 今年3月から販売を始めたKANTA WINEは、購入した人から「さっぱりしていて、飲みやすく和食にも合う」と好評を得ているという。

 今年はロースラーを約2㌧収穫し、そのうち1300㌔を同町の株式会社エーデルワインへ出荷。残り700㌔を同社へ委託し、700本のワインを製造する予定だ。

 鈴木さんは「今年分のワインは完売しているが、来年分は3月から購入できる。現在も予約は可能」とPRする。

 「個人販売が多いので、お客さまの声を直接聞くことができ原動力につながっている。飲んだ人の記憶に残るおいしいワインを作り続けたい」と笑顔を見せる。


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