【新聞:岩手版】料理人のニーズに対応

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】料理人のニーズに対応

[2020年11月2週号]

 【盛岡】料理や飲み物など、加工に適したリンゴを栽培する盛岡市三本柳の有限会社サンファーム(吉田修司代表取締役)。「それぞれの品種の特長を生産者目線で消費者に伝え、リンゴの甘さ以外の魅力も知ってほしい」と意気込む。

「見た目が和ナシにそっくりなものなどがあり、リンゴの品種は多種多様」と吉田取締役

 同社では、約6㌶の園地で、リンゴのほかサクランボやブルーベリー、ラズベリーなどの果樹を栽培。自社産果実を原料にした加工品の製造・販売、収穫体験など、果樹の魅力発信に励んでいる。

 リンゴ栽培は12年前に始めた。吉田美香取締役(51)は「酸味や渋味が強い品種は、国内では供給が少ない。しかし、欧米で修業を積んだ料理人や菓子職人からは、現地で使用した品種を求められることが多い」と話す。

 現在、リンゴ80品種を1・1㌶の園地で栽培。そのうち約8割の品種が「ブラムリーズ・シードリング」や「紅の夢」などで、料理や飲み物への加工に適している。

 吉田取締役は「始めは収穫適期も分からなかった。まずは植えてみて、土地との相性を実際に試してみるしかなかった」と話す。「例えば青リンゴは酸味が強くて、皮が茶色いものは渋味がある。作りたい料理に合わせて、味や見た目のほか、果実の大きさや硬さなど、生産者目線で細かく提案できる」

品種の特性を生かした加工品も販売する

県外業者とも取引

 同社は、地元のほか県外の業者とも取引している。「なじみのない品種は、棚に並べるだけでは手にしてもらえない。その品種の特性を生産者が直接伝え、理解してもらった上で卸すことが大切」

 吉田取締役は「欧米ではサラダやパイなど、いろいろな料理と飲み物にリンゴが使われ、人々の生活に浸透していると感じる。生食向けではない品種にも、甘さ以外の魅力があることを知ってもらいたい」と笑顔を見せる。


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