【新聞:岩手版】最適な環境でシイタケ増産

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】最適な環境でシイタケ増産

[2019年11月1週号]

 【中部】「一つの菌床ブロックから1㌔以上のシイタケを収穫できるように日々勉強しています」と話すのは、花巻市田力の大菅智和さん(38)。シイタケを最適な環境で栽培したいとハウスを自ら設計し、試行錯誤を重ねながら、収量を増やすための作業に取り組んでいる。

「天窓を高い位置に付けたことでハウス内に虫が入らなくなった」と大菅さん

 大菅さんは地元の企業に勤めていたが、2001年に実家に就農した。「実家では夏場にキュウリを栽培していたが、農閑期にも収入を得るために、シイタケ栽培を始めようと思った」と大菅さん。市内外のシイタケ農家で栽培技術などを学び、02年1月から栽培を開始した。

 現在、ハウス4棟(6.5㌃)で栽培する。そのうちの2棟は、最適な環境でシイタケを栽培しようと18年に大菅さんが設計した特注のハウスだ。

 「軒高が4㍍ほどあるのが大きな特徴。通常のハウスでは天井が低く、空調機から出る風が菌床ブロックに直接当たり、乾燥状態になっていた。そのため、菌床ごとの収量に差が出ていた」

快適な温度に保つ

 シイタケが乾燥するのを防ぐため、空調機とダクトを高い位置に設置した。「ダクトの長さも自分で調整する。ダクトに穴を開けることで、ハウス内を快適な温度に保てるように工夫している」

ダクトに穴を開け、空気がまんべんなく循環するように改善

 さらに、断熱効果を高めるため、ハウスの内張には取り付けしやすいキルトを採用した。「湿度を上げたいときにキルトに直接水を吹き付けることができる。水をかけてもカビの心配がない」

 大菅さんは「キルトだけでは気密性がなかったため、ハウス内の湿度をうまくコントロールできず、昨年前半は収量が落ちてしまった。来年は失敗を活かし、ハウス内の環境をしっかりとコントロールして収量を上げていきたい」と意気込む。


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