[2019年2月3週号]
【宮古】有害鳥獣の捕獲活動を行う宮古市鳥獣被害対策実施隊(攝待義男隊長=71歳、隊員86人)では、捕獲活動の研修会を開催している。2018年は約300頭のニホンジカを捕獲し、同市の被害額は減少。成果を挙げる一方で、被害区域は拡大を続けていて、今後は地域が一丸となった取り組みが求められている。
被害額は878万円
17年に同市で発生した農作物の鳥獣被害面積は1212㌃。被害額は878万円に及んだ。特に被害面積の9割近くをニホンジカが占める。
宮古市鳥獣被害対策実施隊は、宮古地区猟友会の会員のうち、宮古市長の任命を受けた会員で組織。市内で行われる銃器およびわなによる有害鳥獣の捕獲は隊員が実施する。
安全な活動を徹底
実施隊では関係機関などと連携して、研修会を毎年開く。同市花輪地区公民館で行われた研修会で、攝待隊長は「銃を扱うので、研修を通じて安全な取り組みを進めたい」とあいさつした。
隊員の清水実さん(61)は「活動前のミーティングで地形や仲間の立ち位置を確認して、猟のチャンスが無くなったら銃から弾をすぐに抜いている」と暴発対策を徹底する。
イノシシの目撃も
昨年の実施隊によるニホンジカ捕獲頭数は約300頭。被害額も減少した。しかし、宮古市役所農林課の小野寺悠悟主任は「生息域が拡大して、被害の範囲は広がっている」と話す。また、イノシシの目撃情報も報告されており、今後も予断を許さない状況だ。
農作物への被害拡大を防ぐには、農家個々の対策も重要となる。小野寺主任は「対策が不十分な農地の被害が大きい」と話す。
隊員の井上祐治さん(55)は「電気牧柵の設置や里山の刈り払いなど、農地の所有者の協力も必要」と話した。