【新聞:岩手版】経営拡充に挑戦

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】経営拡充に挑戦

[2023年2月2週号]

 【磐井】一関市花泉町の「佐藤なし園」では、130㌃で11品種のナシを栽培する。園主の佐藤範幸さん(45)は2018年に就農。収穫時期が異なる品種を栽培して品切れを防ぐほか、木の状態を観察し異常にすぐに対応するよう心掛けるなど、試行を重ねている。今後は人手を確保し、改植を進め収量増を目指す。

品切れ防ぐ11品種

 佐藤さんは18年から2年間、ナシ栽培の技術を前園主から学んだ。園地を30年間利用する権利を20年11月に得て、「佐藤なし園」に改称。現在は佐藤さんの母、前園主の妻の3人と栽培に取り組み、JAへの出荷のほか、直売所や同市内のスーパーなどで販売する。

「根元に近い場所で接ぎ木をすると虫が入りやすくなるので、木の高い位置で接ぎ木する」と佐藤さん

 品種ごとの収穫期の間隔が開き品切れにならないように、「幸水」や「あきづき」など、収穫時期が異なる11品種を栽培。佐藤さんは「花泉町の気候に合う品種があれば積極的に取り入れたい」と意欲を見せる。

 木の状態を小まめに観察し、異常を見つけたときは、前園主や先輩農家、友人に聞くという。原因が分からないときは、一関農業改良普及センターや岩手県農業研究センターの職員からアドバイスを受ける。

 「低温に弱い品種の枝幹障害を防ぎたい。樹勢を保ちながら施肥量と着果量を調整し、気候や品種の特徴に合わせて臨機応変に栽培したい」

 21年には経営継承・発展支援事業補助金を利用して園内の直売所を拡張し、自動選果選別機を導入するなど経営の発展に取り組む。

 課題は労働力の確保だ。現在はパート作業員を雇用するが、園地が広く作業量が多いため、1人当たりの負担が大きい。佐藤さんは「今後は休憩所の設置や作業場の拡張で労働環境の整備に取り組む。労働力を確保し、改植を進めて木の若返りを図り、収量増を目指す」と話す。


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