【新聞:岩手版】自作のハウスでレモンとミカン

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】自作のハウスでレモンとミカン

[2021年8月3週号]

 【磐井】「東北で熱帯果樹や植物が栽培できたら面白いと思った」と話す一関市東山町の千葉一男さん(68)。50年前から自作のビニールハウス3棟や温室ハウス2棟で、多肉植物やレモンなどを栽培する。長年にわたって栽培実験を続け、毎年多くの植物が実を結ぶ。

 「農業高校時代に知人からサボテンの種を譲り受けて、自宅のビニールハウスで栽培を始めた」と千葉さん。その後、通信販売で購入したサボテンの種を育て始め、多肉植物栽培の面白さに目覚めたという。

毎年たくさん実をつけるレモンとミカン (写真提供=千葉さん)

 機械設備の仕事をする傍ら、植物を栽培するためのビニールハウスや温室ハウスをすべて独学で建てた。「温室ハウスの柱は、自宅の裏山の木を伐り出し、自作の製材機で加工した」

 約20年前からビニールハウス1棟で、農薬や肥料を使わずにレモンとミカンの栽培に取り組む。

 「毎年行う接ぎ木が重要で、台木が成長していれば穂木も元気に育つ。台木は温かい場所に置くことで水を吸収する。穂木は寒い場所に置いて、栄養の吸収を止める。そうすると接ぎ木をしてすぐに穂木が栄養を吸収して、ぐんぐん成長する」

露地で栽培するバナナ

 7年前から露地でバナナも栽培している。「寒さに弱い熱帯果樹や植物は、枯れないように秋に根を掘り返し、肥料袋に入れて温室ハウスで冬を越す」。ハウス内は、根を枯らさずに越冬できる限度の3度に保つため石油暖房機を使う。

 千葉さんは現在、100種類を超えるサボテンや多肉植物、約10種類の熱帯果物を栽培。「植物の栽培は実験の繰り返し。うまく成長するのが楽しい。思いついたことは何でも試している」と笑顔を見せる。


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