【新聞:岩手版】農福連携で確かな成果

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】農福連携で確かな成果

[2020年5月1週号]

 【胆江】奥州市江刺伊手の株式会社菅野農園では、障がい者施設の利用者に農作業を依頼することで、従業員の労力低減を図り、果樹の品質向上につなげている。さらに、農作業を通して施設利用者に農業の魅力を伝え、地域の活性化を目指す。

 菅野農園では、従業員16人でリンゴ6㌶、モモ1㌶をはじめ、プルーンや西洋ナシなどを30㌃で栽培している。

施設利用者の指導に当たる従業員と作業前に打ち合わせをする菅野代表

 同園の菅野千秋代表取締役(46)は「従業員だけでは農繁期に手が回らないこともあった。福祉施設に勤めている友人に勧めてもらった」と話す。2016年から、奥州市内の福祉施設2か所を通して、障がい者施設の利用者に農作業を依頼している。

 「毎年5月ごろから収穫期までの週5日、施設利用者4人と指導員1人に来てもらっている」と菅野代表。剪定後の枝拾いや花摘み、摘果作業、着色管理、収穫、蜜入りの検査などを依頼している。

従業員の指導力向上

 「従業員個々の労力が減り適期に作業ができるようになった。それがリンゴの品質向上にもつながった。『どのように説明すれば作業がしやすいか』など従業員の指導力も向上している」

剪定した枝を集める施設利用者

 作業を通して農業に魅力を感じている施設利用者もいるという。「『リンゴの作業をしたい』と言ってくれる方もいる。今後もみなさんが作業しやすい環境を整えていきたい」

 地元の学校の授業で、福祉と農業の大切さについて講演を依頼されることもあるという菅野代表。「農福連携は大変だと考えている方が多いと思うが、実際に作業してもらいとても助かっている。自分が率先して活動することで、障がいがある方が自信ややりがいを感じてもらえるように取り組みを継続していきたい。また、若手就農者の育成にも力を入れ、地域の活性化にもつながればうれしい」と話す。


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