【新聞:岩手版】農地存続へ地域と協力

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】農地存続へ地域と協力

[2022年6月2週号]

田植えに向かう博文さん(右)と明音さん。野菜から始まった農業は、米作りも本格的に取り組むことになった

 【中部】水稲9㌶と露地でピーマン10㌃などを栽培する北上市鬼柳町の「明彩農園」。代表の高橋博文さん(34)と妻の明音さん(28)の夫婦二人三脚で農業に取り組む。イラストレーターでもある明音さんのデザインと農業を組み合わせ、農業と地域の魅力発信に力を注いでいる。

 博文さんは前職を退職後、2020年に就農。農業大学校や野菜農家に通い農業を1年間学んだ。野菜農家として就農したが、地元の離農者から「うちの田んぼで米を作ってくれないか」と声を掛けられたことがきっかけで水稲も栽培する。

 整備が進んでいない圃場なども積極的に借り受けた。「農地を存続させたいという思いで借り受けている。地域の農家と協力して農地を集約し、作業の効率を図りたい」

 ピーマンは、多湿による青枯病などを防止するため、畑の畝を通常よりも高くして水はけを良くした。「JAの指導員さんに生育状況をよく褒められる」と効果を実感している。

 自身が生産した米のもみ殻は、市内の酪農家から仕入れた牛ふんを混ぜて発酵させ、堆肥として使う。

 水稲の苗は母の英子さん(65)の指導で栽培する。英子さんは「それぞれの農家でやり方が異なる。良いところをまねして、これからも良質な苗を作りたい」と話す。

 栽培した農産物は、JAや市内の学校給食用に出荷するほか、インターネットでも販売。インターネット販売では、明音さんが制作した市の風景を織り交ぜたオリジナルポストカードなどを同封している。

 博文さんは「家族や地元の農家さんの協力に感謝している。今後は農地の集約化と、デザインと農業を融合させた独自の方法で、農業と地域の魅力を発信していきたい」と意気込む。


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