【新聞:岩手版】農薬不使用の雑穀栽培確立

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】農薬不使用の雑穀栽培確立

[2023年3月1週号]

「食の安全を重視した栽培を継続したい」と尾田川代表

 【北部】軽米町の「尾田川農園(尾田川勝雄代表=69歳)」は、農薬を使用しない栽培方法で、誰でも安心して食べられる雑穀生産に取り組む。地元の産直やイベント、ネットショップで販売し、全国から注文が入るという。契約農家への栽培指導や苗の無料配布を実施し、農家の技術向上や負担軽減につなげている。

 雑穀生産が盛んな県北地域にある同農園は、アワやヒエなどの雑穀のほか、麦やエゴマなど13品目を、農薬を使わず栽培。軽米町、二戸市など県北8市町村の雑穀農家約150戸と栽培契約を結び、昨年は自社農園30㌃を含めた17㌶で27㌧を生産した。

 尾田川代表は「病気を発生させない栽培管理を徹底し、農薬を使わない栽培方法を確立した」と話す。連作障害による生育不良を防ぐため、イネ科、ヒユ科、シソ科、マメ科と1年ごとに栽培作物を変更して輪作する。マメ科の作物が持つ根粒菌は土中の微生物のバランスを保つため、数年に一度は大豆を作付けして病気を防ぐという。

エゴマ苗を無料配布

「生産者の名前、市町村を印字して販売する」と尾田川代表

 「安定した雑穀生産のために農家との連携を大切にしている」と尾田川代表。希望する農家には栽培を指導するほか、優れた生産農家の栽培方法を共有し、契約農家全体の技術向上を目指す。

 ほかにも、エゴマやヒエの苗を育苗し、無料で契約農家へ配布する。苗の状態で植え付けることで雑草に負けずに育つという。「契約農家は高齢の方が多く、少しでも除草作業の負担を軽減させたいと思い無料配布を始めた」

 1㌔当たりの契約単価を他業者より高く設定し、需要の高い作物は買い取り金額を上乗せするなど栽培意欲向上に取り組む。

 昨年から生産者紹介や栽培方法の動画を制作し、動画共有サイト(ユーチューブ)を利用して情報発信を始めた。

 尾田川代表は「冷涼な気候の県北地域は、害虫が少ないなど栽培の利点がある。情報発信で若手農家の確保につなげたい」と話す。


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