【新聞:岩手版】養蚕の魅力 再興に意欲

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】養蚕の魅力 再興に意欲

[2020年7月3週号]

 【中部】衰退傾向にある養蚕業を復活させようと、北上市の地域おこし協力隊員に赴任した松岡冴さん(27)。蚕が快適に過ごせる空間づくりを心掛け、ハウス内の温度や湿度管理に気を付けている。「北上市内で独立し、繭生産から絹製品の商品の製造・販売をしたい」と奮闘中だ。

「独立に向けて、今秋から1人で5千頭の飼育を始める」と松岡さん

 

東京都出身の松岡さんは、染織を学ぶため京都府内の大学へ進学した。「蚕から絹糸が取れることは知っていたが、実際に蚕を見て絹ができていることに感動し、養蚕業に興味を持った」と話す。

 大学卒業後は民間企業へ就職したが、養蚕業に携わりたいと北上市の地域おこし協力隊に応募。2019年4月から同市更木にある「更木ふるさと興社」で養蚕業に励む傍ら、自身の工房で染織・布織も手掛けている。

 同興社では現在、ハウス1棟で約4万頭の蚕を飼育。本年度は繭の出荷を3回予定している。「今年の生産目標は約100㌔。今年の繭は大きいので糸の量に期待できる」

小まめに剪定・除草

染料となるベニバナ、日本茜、日本紫を自身の畑で育てている

 蚕の餌となる桑の葉は、同市内外7カ所の畑で合計3200本の桑の木から取る。「雑草が木の成長を妨げないよう、小まめに剪定や除草を行っている」

 ハウス内の温度と湿度管理は特に難しいという。「昨年の晩秋蚕期に、湿度の高さが原因でかかる病気が流行し、畜産の厳しさを痛感した」と松岡さん。「蚕が病気にかからずに快適に過ごせるように、ハウス内の温度は25度前後に保ち、ハウス内の清掃や消毒を徹底している」

今後は市内で独立し、繭生産から絹製品の製造・販売を手掛けたいという松岡さん。「養蚕業は産業として潤っていないのが現状だが、養蚕の魅力を更木から全国に発信していきたい」と今後に意欲を見せる。


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