【新聞:岩手版】高能力牛育てる衛生管理と観察

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】高能力牛育てる衛生管理と観察

[2022年11月1週号]

 【宮古】両親と共に黒毛和牛11頭、日本短角牛18頭を飼養する岩泉町釜津田の佐々木和時美さん(40)。牛舎の小まめな清掃や、牛の健康状態の確認などを徹底し、繁殖能力の高い牛の育成に取り組む。今年10月に開催された第12回全国和牛能力共進会(全共鹿児島大会)の岩手代表に選出され、高い評価を得た。

和時美さん(左)と母の時子さん(66)、受賞した「ゆりぐも」号

 高校卒業後、県外の製菓工場に勤務していた和時美さんは、実家で飼養する牛の魅力にひかれ、20歳で就農。「両親を手伝いながら飼養方法を学んだので、大変だとはあまり感じなかった」と振り返る。

 健康な牛を育てるため、牛舎内は常に清潔な状態を保つことを心がける。食べ残した飼料の処分や排せつ物の清掃のほか、敷きわらを小まめに取り換え、牛の状態を確認していく。

 「黒毛和牛は短角牛と比べて体が弱いので、消化器官が発達する生後3カ月までの飼養管理が大事」と和時美さん。子牛の下痢を防ぐため、餌の与えすぎに注意し、下痢の症状が見られた場合は薬での処置など迅速に対応する。

 牛の状態を牛舎の外からも確認できるよう、牛舎内にカメラを設置した。「夜間でも確認できるカメラなので、牛の体調が悪い場合や出産時にすぐに対応できる。子牛の死亡率は減少した」と話す。

 全国和牛能力共進会は「和牛のオリンピック」とも呼ばれる。和時美さんは繁殖雌牛の繁殖能力を評価する第2区に「ゆりぐも」号で出場し、優等賞9席を受賞。「牛が覚えやすい声のかけ方を関係機関から学び、大会に向けて歩行や立ち姿勢の練習をする際に生かすことができた」

 今後は、5年後の全国和牛能力共進会北海道大会への連続出場を目指す。和時美さんは「受賞を励みに、衛生管理を徹底した飼育を続けていきたい」と抱負を話す。


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