【新聞:岩手版】6次産業化を推進

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】6次産業化を推進

[2023年4月1週号]

 【宮古】岩泉町門の佐々木雄哉さん(36)は同町特産の畑ワサビを栽培する。2019年に就農し、栽培面積を拡大してきた。新たな経営展開として6次産業化に着目し、経営者育成研修などを受講しながら加工品開発を始めている。インターネットや産直を通した販売で収益の向上を目指す。

 奥州市出身の佐々木さんは「畑ワサビ農家の圃場見学会に参加し、自然に囲まれた仕事の楽しさに興味を持った」と、同町へ移住し就農。周囲の農家にアドバイスを受け、栽培技術を身に付けてきた。

 就農当初は25㌃の圃場で栽培していたが、19年秋に10㌃、20年春に20㌃を追加し、積極的な面積拡大に取り組む。現在、連作障害による生産量の減少を抑えるため、1㌶の圃場を約30㌃ずつに分け、栽培と休耕のローテーションを組み、年間5㌧を生産する。

 21年に、先進的な農業経営者を育てる「いわてアグリフロンティアスクール」を1年間受講。6次産業化の取り組み事例や農産物の流通を学び、「アグリ管理士」の資格を取得した。現在も民間企業などが主催するセミナーへ積極的に参加する。

水産加工会社と協力

「摘花でワサビの茎が太くなることを畑ワサビ農家から教わった」と佐々木さん

 経営の新たな展開として、畑ワサビの6次産業化を目指す。「自然豊かな岩泉町で育てた畑ワサビに誇りを持っている。自分で加工して消費者に直接届ける農業経営をしたい」

 生産・加工に一貫して取り組むことで、現在の栽培面積を維持したまま収益の向上が期待できるとみている。今年から県内の水産加工会社と協力し、加工品の試作を始めた。「たこわさびなどの商品化を目指している。産直やインターネットを通じて県内外に販売したい」

 作業体制を整備するため、事務所や作業場の建設を検討中だ。「6次産業化が実現できれば、やりがいを感じられると思う。畑ワサビの栽培状況や開発した商品を、SNS(交流サイト)で発信したい」と意気込む。


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