[新聞:岩手版]現場の声を反映~切り花用青色リンドウ4品種を開発~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]現場の声を反映~切り花用青色リンドウ4品種を開発~

[2015年9月1週号 岩手版]

花の咲き具合を確認する田畑さん㊨と安部主査農業普及員

花の咲き具合を確認する田畑さん㊨と安部主査農業普及員

【宮古市】岩手県では切り花向け青色リンドウの新品種(4種)導入に向けて、県内全域で試験栽培を進めている。宮古市では昨年から、刈屋地区の田畑茂男さん(64)の圃場の一部を試験栽培展示圃に新品種の一部の栽培を開始。既存品種の欠点を解消した新品種に生産現場からの期待は大きい。

 生産現場から頂花(リンドウの一番上の花)が開花しやすく、形質や開花時期のばらつきが少ない品種の育成が望まれていることから、岩手県農業研究センター技術部野菜花き研究室は、既存の県育成品種の代替となる4品種(極早生・早生・晩生2種)を開発した。(表参照)

 新品種は生産現場の要望に応えた改良がされ、既存品種と比べて見栄えが良く、収穫のタイミングがわかりやすくなると期待されている。既存品種の「キュースト」「マジェル」「ジョバンニ」は育成から10年経過していて、植え替えのタイミングに併せた導入が勧められている。

通常、リンドウは定植から3年目に出荷となる。田畑さんの圃場では、昨年6月上旬に苗を植えて約30㌢に成長し、秋には翌年の芽を確認している。2年目となる今年は高温が続いたことから高温障害が懸念されるが、草丈が1㍍を超え、良いリンドウが見られるとのこと。

田畑さんは「新品種に期待している。栽培技術は変わらないが、今年は水の管理に気を付けている」と話す。少雨のため、土壌の乾燥対策として、畝と畝の間に水を流し込む通路かん水を行い、水が特に必要な成長時・開花時の水不足を補っている。

今年、新品種を導入した同市田代の田頭信行さん(63)は「晩生品種を3千株植えた。病気も出ていない。順調に株が成長し、彼岸に咲いてくれたら」と期待を寄せる。

宮古農業改良普及センターの安部宏美主査農業普及員は「株や畑の切り替えのタイミングで新品種の導入を勧めたい。出荷量・収入安定に向けて今後も見学会などを開催し、栽培技術の普及に努めたい」と話し、新品種の普及を図るほか、これを機に宮古地域のリンドウ生産者を増やしていきたい考えだ。(中村)

 


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