[新聞:岩手版]ウメで地域に活力

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]ウメで地域に活力

[2018年3月3週号岩手版]

【花巻市】花巻市大迫町外川目地区の「外川目梅の里協議会」(浅沼利一郎会長=78歳、会員11人)では、同地区産のウメを活用した地域づくりに取り組んでいる。耕作放棄地を活用したウメ栽培や新たな加工品の開発などを手がけ、地域の課題解決に向け力を注ぐ。

 同地区は葉タバコの生産が盛んだったが、人口減少や高齢化で担い手が不足。増加した耕作放棄地を活用しようと、約9年前に住民組織のコミュニティ会議がウメの栽培に取り組み始めた。

 「これまで定植したウメの樹は約600本。多いときは約500㌔の実を収穫していた」と浅沼会長。「そのウメを活用して地域活性化の可能性を広げたい」と、2015に協議会が発足した。県の集落再生・活性化モデル支援事業に申請し、「梅でつながる人と地域 外川目活性化プロジェクト」を始めた。

「さわやかな酸味を味わってください」とPRする浅沼会長(右から2人目)と協議会のメンバー

地域住民の声を生かして

 コミュニティ会議の活動として、株式会社エーデルワインと連携した「梅ワイン」商品化の実績があり、協議会でウメを使った加工品製造を模索。遠野市にある農産物加工所に依頼し、ウメを原料にしたジュースの製造を始めた。

 約400㌔の実を使い、1㍑瓶で約2千本分のジュースを試作。3種類の味を用意し地域住民を対象に試飲を実施した。「飲み切りサイズだとちょうどいい」「甘さを控えめに」といった声を踏まえ、味や瓶のサイズを改良。3年かけて試作を重ね「うめっこジュース」(180㍉㍑)、ジュースを加工した「うめっこゼリー」を開発した。

 

価格(税込み)は、ジュースが南高梅230円、露茜250円。ゼリーが南高梅130円、露茜150円

力作のジュースとゼリー

  味は品種ごとに2種類を展開。「南高梅」はウメ本来の酸味を味わえる。鮮やかな赤色の「露茜」はまろやかでほどよい甘さが特徴。浅沼会長は「試行錯誤を重ねた力作だ。果肉が入っていることやきれいな色をアピールしたい」と意気込む。

 協議会の浅沼文博事務局長(62)は「栽培が難しく収量を安定させるのが課題だ。ウメを外川目の新たな特産品とし、雇用の創出や収益確保を目指したい」と意欲を見せる。

 ジュースとゼリーは、地元の産直「未来路」で取り扱っている。4月から販路を拡大する予定だ。


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