[新聞:岩手版]ニーズに応える多彩なミニトマト

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]ニーズに応える多彩なミニトマト

[2017年11月2週号岩手版]

【一関市】ビニールハウス8棟(約30㌃)でミニトマトを中心に多品目の野菜作りに取り組むのは、一関市藤沢町黄海の「おおすみファーム」、大住正樹さん(36)・茜さん(39)夫妻。消費者ニーズに応えようと、珍しい品種の栽培に挑戦し、農業の魅力を子どもたちに伝える食育活動にも力を注ぐ。

「冬場に増える葉物野菜の需要に応えたい」と意気込む正樹さんと茜さん

 埼玉県出身の正樹さんは、一関市で農業を営む祖父の後を継ぐことを決意し、埼玉県農業大学校に進学した。卒業後は、北海道富良野市で農作業ヘルパーを7年間経験。また、同じく農作業ヘルパーをしていた茜さんと結婚、2009年に一関市へ移住・就農した。

 主力として栽培するミニトマトは化学肥料と農薬を基準値の半分以下に抑えた特別栽培。肥料には、少量の馬ふんをもみ殻に混ぜた堆肥を試験的に使っている。「馬ふんは、牛ふんに比べて発酵温度が高く、微生物の動きを活発にさせるため土壌改良に効果がある」と正樹さん。

 野菜は市内の産直「新鮮館 おおまち」に出荷するほか、レストランやカフェにも提供している。「足を運んだお店のメニューや雰囲気に魅せられて『自分たちの野菜を使ってもらえないか』とその場で交渉したこともあります」と販路の拡大にも積極的だ。

西洋野菜・ケールの栽培にも取り組む

 卸先の要望も丁寧に聞き取り、ミニトマトは緑や紫、オレンジなど、料理に映える色鮮やかな品種を栽培する。また、ケール、チーマディラーパなどの西洋野菜やハーブの生産にも挑戦中だ。

 正樹さんが所属するJA青年部では、食育活動として地域の子どもたちと野菜を栽培している。「農業にふれる機会は意外と少ない。最初は、おっかなびっくり土を触っていた子どもたちが、一粒の種から作物が育つ様子に感心するのを見ると嬉しくなります」と目を細める。

 「自分たちが育てているのはメインに添えるもの。だからこそ彩りを大事にしたい」と話す大住さん夫妻。「食卓に夢と希望と彩りを」という思いを込めて、栽培に励んでいる。


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