[新聞:岩手版]ビタミン・鉄分豊富な桑の葉を活用~新たな特産へ期待~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]ビタミン・鉄分豊富な桑の葉を活用~新たな特産へ期待~

[2017年2月2週号 岩手版]

「体に良い桑茶をたくさんの人に飲んでほしい」と話す菊池支配人

【遠野市】遠野地方に伝承される農村文化や風習を体験・学習できる施設「伝承園」(菊池美保支配人)では、園内で栽培した桑の葉を100%原料とするパウダータイプの桑茶を商品化。2014年11月から販売を開始した桑茶は「くせがなくて飲みやすい」と好評で、遠野市の新たな特産品として周囲からの期待も大きい。

近年、健康茶として注目されている桑茶は、アンチエイジングや糖尿病予防、便秘の改善など、さまざまな効果が期待されている。桑の葉にはビタミンや鉄分が豊富に含まれているほか、桑の葉特有の成分であるデオキシノジリマイシンは糖質の吸収や血糖値を抑制する働きがあるといわれている。

同園では長年にわたり養蚕に取り組み、蚕の餌となる桑の葉は、園内の桑畑で栽培している。シカ対策のための防護網を設置した約20㌃の桑畑には、300本ほどの桑が植えられ、同園の職員が農薬を使わずに丁寧に育てている。

桑茶は「身近にある桑を利用できないか」と考えたのがきっかけ。3年前から商品化に向けて本格的に取り組んできた。昨年は、地元老人クラブのメンバーが収穫作業に加わり、約600㌔の桑の葉を収穫。乾燥・加工は北上市の「更木ふるさと興社」などへ委託して約60㌔の桑茶を確保し、昨年12月から新茶が店頭に並んでいる。「糖質の吸収を抑えるため、食前茶として飲むのがお勧めです。焼酎の桑茶割りもおいしいですよ」と菊池支配人は話す。

自然の恵みがいっぱいに詰まった桑茶を求め、遠方から訪れる人やリピーターも多く、昨年10月には同市のふるさと納税の返礼品に選ばれるなど、売り上げも好調だ。また、桑茶以外にも利用できないかと試行錯誤を重ね、桑パウダーを使用した「桑ジェラート」や「桑けいらん」、「桑ロールケーキ」を考案。同商品は、遠野ふるさと公社の遠野冬のギフトの中で「伝承園桑スイーツセット」として販売された。

(左)60㌘入り1,080円(税込) (右)25㌘入り540円(税込) (中)缶(25㌘入り)780円(税込)

同園では桑茶のほかにも園内で育てた蚕の繭から、繭玉化粧水の作成キット「まゆだま化粧水用」を商品化するなど新商品の開発に積極的だ。今後は桑葉の収量アップのため、桑畑の面積拡大なども検討しているという。菊池支配人は「たくさんの方々に応援していただいている。これからも体に良いものを皆さんに提供できるように頑張りたい」と力強く話してくれた。


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