[新聞:岩手版]実情に合わせた環境改善で乳量増加

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]実情に合わせた環境改善で乳量増加

[2017年1月4週号 岩手版]

牛の世話をするひろみさん(左)と娘の祐子さん(右)と孫の陽日ちゃん(真ん中)

【洋野町】乳用牛の環境改善で質量の向上と乳量の増加を目指す堤内ひろみさん(55)。フリーバーン方式を取り入れ、牛群検定や地域のTMRセンターの活用に積極的に取り組んでいる。また、ミルクレディース会の部長を務め、農作業や家事に追われて閉鎖的になりがちな酪農女性の意見交流の場を設け地域のつながりを広げている。

堤内さん方では、家族経営で乳用牛(成牛36頭、育成牛30頭)を飼育している。「3年半前に牛舎が火事になり、残った牛は7頭でした。もう、だめかなと思いましたが、周囲の支援も受け、生き残った牛の為にも『やるしかない』と堆肥場を改良し、フリーバーン方式を導入しました」と当時を振り返る。以前は、牛群検査を基に一頭ずつ管理し、乳量に合わせた飼料を与えていたが、フリーバーン方式にしてからは、牛が自由に飼料を食べ、歩きまわれるため牛の体調の変化や性格が良く分かるようになった。「乳量は一頭あたり年1万200㍑と以前より上がり、管理の手間も省くことができました。何よりリラックスした牛を見ていると新しい扉が開いたような喜びがあります」と目を輝かせる。

また、堤内さん方では、草地管理と栄養バランスの良い混合飼料の供給にTMRセンターを活用している。「この地域は草地基盤がしっかりしているため、廃業した農家の草地も借りるなど、資源を大切に活用しています」と話す。

酪農女性を応援 

混合飼料を与えるひろみさん

ミルクレディース会の部長を務めているひろみさん。日帰りの研修や交流会を通して牛飼い女子の技術向上を図るほか、児童に牛のことを知ってもらうための出前授業を行うなど幅広く活動している。「嫁ぐ前は、公務員として働いていました。当時は、知らない土地での寂しさや慣れない作業に戸惑うこともあったので、今はそんな酪農の女性を一人でも多く応援したいと思っています」と力強く話している。

今後については「牛屋には牛屋の楽しみがあります。自分自身も飼育を楽しみ、その楽しさを仲間と共有していきたいです。また、人にも牛にも効果的な環境を整え、質・量共に満足のいく生産に励んでいきたいです」と意欲的に取り組む。


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