[新聞:岩手版]少量多品目 在来種など個性豊か~消費者の声が原動力~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]少量多品目 在来種など個性豊か~消費者の声が原動力~

[2017年10月1週号岩手版]

【北上市】農薬や化学肥料を使わずに野菜栽培に取り組む北上市更木の伊藤修司さん(44)は、伝統野菜や在来種野菜など約40品種を手掛けている。県内外の個人や飲食店にインターネット販売をしていて「お客さんの声を大事にしながら品目選びや野菜作りをしています」と情熱を注ぐ。

 

宮城県出身の伊藤さんは就農2年目。3年前に陸上自衛隊を退職し、妻・眞貴(まき)さん(44)の実家がある北上市で農業を始めた。農薬・化学肥料に頼らず、少量多品目に取り組み、約90㌃に約40品種70品目の野菜を栽培している。

 

収穫間近のオクラの状態を見る伊藤さん

友人からもらった新規就農者向けの本がきっかけで農業の道に進んだ伊藤さん。農業に関する情報収集を重ねる中で「体にいいものを作りたい」と無農薬栽培に関心を持ち始めた。有機質肥料を使った栽培は「新規就農の有機農家さんのところで研修できることになって本格的に動き出しましたね」と始めたきっかけを話す。

 

スーパーではほとんど並ぶことのない個性豊かな野菜を育てる伊藤さん。ナスだけでも6種類あり、見た目や大きさも多彩だ。発酵鶏ふん肥料を使い、雑草と作物が共存する。「草と一緒に野菜を育てたいと思っています。いろんな生き物が畑にたくさんいることが良い土づくりに欠かせないことなので、雑草も良い意味で使っていきたい」と思いを話す。

赤いオクラ「バーガンディ」

「ヤサイノイトウ」の名で個人や飲食店にインターネット販売も展開。消費者のペースに合わせ、隔週や月1回で野菜を届けている。「どんな野菜が喜んでもらえるかを考えながら季節ごとに品目を選び、栽培しています。珍しい野菜が多いので名前の由来や調理方法を書いたメニューも付けていますよ」と眞貴さんの書くメニューが好評だ。

「お客さんから『おいしい』と言ってもらえると本当にうれしいし、みなさんのために一生懸命野菜を作らなきゃなという気持ちになる。お客さんの声は自分の大事な原動力ですね」と笑顔を見せる。

今後は「少しずつ販路を広げ、品目のバリエーションも増やしていきたい」とし「今年実施の収穫イベントが好評だったのでまたやりたいです。畑を直接見て食べてもらうことで良さがもっと伝わると思います」と話している。


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