[新聞:岩手版]心込め描いた地元の銘木

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]心込め描いた地元の銘木

[2018年01月3週号岩手版特集号]

【一関市】「一枚描くのに2カ月くらいかかる。絵の具が乾かないと色を塗り重ねられないし、描けない時は全然描けないんです」と話す一関市千厩町奥玉の佐藤なかよさん(73)は60歳から油絵を始めた。地域の絵画グループ「東彩会」に所属し、展示会にも年2回出展している。

「絵の中だと花をいっぱい咲かせてしまうのよね」と笑顔のなかよさん

 23歳の時に文橘さん(73)と結婚し、会社勤めをしながら水稲栽培や養蚕、畑仕事に励んできた。現在も約7㌃の畑でタマネギやダイコン、ハクサイなどを栽培している。

 なかよさんが最も思い入れがあるのは、地元で「種蒔き桜」と呼ばれるヒガンザクラを描いた作品。樹齢は400年とも言われている。枝ぶりがよくわかる冬に何度も通い写真を撮り、じっくり時間をかけて仕上げた。「奥玉を代表する種蒔き桜を題材にした作品をほとんど見かけなかった。風雪に数百年も耐えてきた立派な幹を描いてやらなくちゃかわいそう」

 文橘さんはなかよさんを温かく見守る。「私がもう完成したと思っても、本人はまだ納得いかない様子で描き続けていますよ。でも、好きなことがあるのはいいですね」

なかよさんは「農業も油絵も楽しみながら続け、いつか躍動感のある馬を描いてみたい」と声を弾ませる。


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