[新聞:岩手版]地場産大豆や雑穀でみそ・しょうゆ~昔ながらの味守る~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]地場産大豆や雑穀でみそ・しょうゆ~昔ながらの味守る~

[2015年11月4週号 岩手版]

2015-11-4_72【軽米町】「苦しいことがあっても地域の皆さんの励ましで乗り越えてきました」と話すのは、軽米町にある大黒醤油株式会社の三代目代表取締役・坂本剛さん(50)だ。同社は地場産の大豆や雑穀を使ったみそ・しょうゆを製造、販売。大豆と塩だけで造る「豆みそ」は「地みそ」として県内外の消費者から長く愛されている。

明治時代末期から技術を受け継いできた同社は、16年前に同町で発生した大水害により工場の建物に甚大な被害を受け、町内の別所に移転。その6年後にしょうゆ工場が火災に遭い、周囲の協力を経て翌年5月に再稼働した。

「もうみそ造りはできない。何度もそう思いました。地元の方々に支えられて歩んできました」と目に涙をにじませる坂本さん。災害に見舞われながらも「『続けて欲しい』と周囲の応援と協力を得て再建することができました」と振り返る。

「麹から手造りなので、みその香りは格別です」と坂本さん。原料となる豆類や雑穀を麹蓋(木箱)に広げ、手をかけて製造していて「麹造りは3~4日かかり、一番気を使う」とも話す。

また、地場産雑穀を使い、ヒエやアワなどの雑穀麹を開発。雑穀が主原料の「ひえ味噌」や「五穀麹味噌」などの雑穀みそは物産展で好評だ。商品は約20種類で、関東・東海地方にも出荷している。

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仕込み作業が落ち着く冬場には「みそ造り体験」を開催。約3時間でみそが仕込めると好評で「自分で造ることでみそを身近に感じてもらい、本来の味を知ってほしい」と子供向けの体験も組んでいる。

以前は、全て地場産の原料を使用していたが、高齢化と廃業もあり現在は材料集めに苦労しているという。

「なるべく地場産の材料を使用し地域に貢献したい。多様な時代の中でも変わらずに、培われた技術と支え守られてきた『昔食べたなつかしい味』を残していきたい」と意気込む。


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