[新聞:岩手版]理想の酪農を追求

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]理想の酪農を追求

[2018年3月2週号岩手版]

【八幡平市】2012年に就農し、両親と3人で、搾乳牛約30頭を飼育するのは八幡平市帷子の田村直人さん(28)。専門学校や、実習先で学んだ知識と経験を生かし、乳量の維持や、繁殖の改善を目指している。

田村さんは「体調の悪い牛がいたら、早く適切な対応が取れるように」と、気を抜かない

実習経験が生きる

 「もともと、動物が好きだった」と笑顔を見せる田村さん。子どもの頃は、自宅の牛舎が遊び場だった。

 家業を継ごうと本格的に考え始めたのは、中学2年生の頃。高校時代は、共進会に通いつめ、知識を身に付けた。

 県内の農業高校を卒業後、北海道札幌市の専門学校へ進学。2年間学んだ後、中標津町の牧場で、さらに2年間実習経験を積んだ。「実習先の牧場は、約300頭飼育していて、仕事に慣れようと必死だった」

 北海道で酪農を経験したことで、「実家の牛をより注意深く観察できるようになった」という。牛に異常がないか、常に気を配っている。

 田村さん方では、体格の改良を進めてきた。飛節の角度や、尻の高さなどをしっかりと見極めて種雄牛を選定している。「改良には、30年かかると言われている。父の代から取り組み、少しずつ理想に近づいている」

体調管理は牧草から

 牧草の管理にも気を配っている。「『牧草の質が良ければ、牛もよく食べるので、体調を崩しにくい』と母に教わってきた。消化が良くなるように牧草をしっかり管理すれば、乳量も上がる」

 刈り取り時期の見極めも重要だ。「牧草が硬すぎると牛も食べないので、乾燥しすぎないように気をつけている。天候の影響も大きいが、牛たちには、いつもおいしい牧草を食べさせたい」

 「牛の能力を引き出すことができるのは飼い主だけ」と田村さん。「牛に無理をさせず、きちんとコミュニケーションを取って、現在の乳量を維持して、繁殖成績の向上も目指したい」と笑顔で話す。


ページ上部へ