[新聞:岩手版]特産サトイモ『津志田芋』~伝統の産地を守る~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]特産サトイモ『津志田芋』~伝統の産地を守る~

[2015年11月2週号 岩手版]

2015-11-2_11【盛岡市】「おいしい津志田芋をたくさんの人に食べてほしい」と盛岡市津志田の吉田忠良さん(64)は、同市特産「津志田芋(サトイモ)」の生産に励んでいる。近年では焼酎も開発され人気を集めていて、特産品としてのさらなる発展に期待は高まる。

 「やっぱり土がいいんだろうね」と話す吉田さん。津志田地区の土壌は火山灰を基にできた黒ボク土壌で、水はけが良く、サトイモ栽培に適しているといわれ、江戸時代から良質なサトイモが栽培されてきたという。

 畑約15㌃で栽培に勤しむ吉田さんは、4月上旬に芽出しを行い、5月初旬に定植。9月下旬ころから収穫を開始する。収穫は芋掘り機を装着したトラクターで行う。掘り起こした芋は手作業で土を落とし、根を取った後、機械で規格ごとに選別して出荷する。

「手が掛かるが、丁寧な仕事を心掛けている」と、妥協を許さない吉田さん。今年の出来については「雨が少なく心配した。やや小振りだが味は抜群だ」と自信を見せる。

市場に流通するのは子芋や孫芋だが、津志田芋は親芋も食味が良いいことから、盛岡商工会議所は親芋を使った焼酎を発案。2008年から「里芋焼酎 津志田」を発売している。親芋は「かしら」と呼ばれていて、同商工会議所都南支所の鈴木義博支所長は「かしらを有効活用し、津志田芋の風味がしっかり感じられるよう改良を重ねた」と話す。

焼酎は今年収穫したものを仕込み、翌年7月に完成。販売数は津志田芋の生産量によって毎年異なり、今年は2400本販売されている。

人気の高い津志田芋だが、生産者は減少しているのが現状。また、同地区は宅地化も進んでいて、生産量は決して多くはない。「一番の課題は後継者不足。若い後継者が出てきてほしい」と話す吉田さん。「もっと栽培面積を増やして、盛岡市の特産品として広めたい。良質なサトイモが採れるこの産地を次代に繋げていきたい」と力強く話した。(谷村)

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「里芋焼酎 津志田」720㍉㍑1369円(税込)

 

 

 

 

 

 

 


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