[新聞:岩手版]自家産サツマイモで干し芋~納得の味を提供~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]自家産サツマイモで干し芋~納得の味を提供~

[2017年3月2週号 岩手版]

「干し芋の固定概念を捨てて食べてほしい」と勝彦さん

【一関市】栽培するサツマイモを原料に向永勝彦さん(69)が製造する「黄金干藷」は、丘陵地の地形や気候を活かして作る、添加物を使用しない天然の干し芋だ。設備投資にも力を入れる勝彦さんは、イモの貯蔵庫を建て品質管理を徹底。上品な味わいを売りに「和製スイーツ」として販売している。

石川県能登生まれの勝彦さんは、1995年に新規就農で群馬県から岩手県一関市(旧藤沢町)へ移住。花き・イチゴ栽培を経て2011年より、妻の志保子さん(69)と息子の将浩さん(48)の3人で、干し芋作りを専業で営んでいる。

干し芋の原料は、地元の地名から勝彦さんが名付けた「曲田金時」で、自家採種を重ねたイモを北上川沿いの畑2㌶で栽培している。3月になると種芋をハウスの苗床に伏せ、発芽した芽を育苗。5月下旬に手植し、9月下旬から10月上旬に収穫する。

収穫したイモの腐敗を防ぎ品質を保つため、2013年に勝彦さんの設計で断熱材入りの貯蔵庫を建設した。適温の13度に制御するサーモスタットを完備するほか、二重扉の構造で冷気の進入を遮断。貯蔵庫に保管することでイモの糖化が進み、甘みが蓄えられる。

12月下旬から4月までの期間は加工作業に従事。水洗いしたイモは蒸気釜で蒸かし、皮をむいて約1~2週間かけて天日に干す。冷涼な気候と寒風を利用し、自然乾燥させると甘みがぐんと増す。温度が高いとカビが付くため、環境が整った場所でしか作れない冬場の手仕事となる。

贈答品に喜ばれている黄金甘藷(130㌘・税込1200円)

熱風消毒機で殺菌し、真空パックに詰めて出荷する干し芋は、賞味期間が3か月と日持ちするのも魅力。商品は出店するインターネットショッピングサイト「アマゾン」と「BASE」で販売するほか、直売所や県内の百貨店などでも取り扱う。

2015年には復興庁が主催する「世界にも通用する究極のお土産」に選定された黄金干藷。勝彦さんは「薄く切らずに食感を残した丸干しの干し芋がお勧め。しっとりなめらかな口触りと奥ゆきある味を楽しんでほしい」と、自信を持って送り出す。


ページ上部へ