[新聞:岩手版]自家産ブドウでワイン 新たな特産へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]自家産ブドウでワイン 新たな特産へ

[2017年5月2週号岩手版]

【陸前高田市】自社で栽培したブドウでジュースを製造・販売する陸前高田市米崎町の有限会社神田葡萄園(熊谷晃弘社長=33歳)では、2015年からワインの醸造を開始。冷涼な潮風で育ったブドウのさわやかな酸味が、フレッシュで飲みやすいと消費者の人気を集めている。

 

 神田葡萄園は1905年に創業し、現在はブドウ2・5㌶を栽培。主にブドウジュースを製造、販売してきたが、6代目となる熊谷社長が「創業当時手がけていたぶどう酒造りを復活させ、地元の人たちにも親しまれる新たな特産品にしたい」と、ワイン醸造を決意した。

16年産は5種類1万本

 「キャンベル・アーリー」「ナイアガラ」の2品種を栽培していた同社は、11年にワイン用品種の定植も予定していたが、東日本大震災で被災。工場と園地に津波やがれきが流れ込み、ワイン造りの計画は中断せざるを得なかった。しかし、熊谷社長は「奇跡的に成木のブドウは全て助かった。復活したブドウからワイン造りにチャレンジする力をもらった」とすぐに営業を再開した。

 現在は16年産ワイン5種類を販売中で、1万本の出荷を予定している。熊谷社長は「白系ワインが中心なので、地元の海産物と相性が良くお勧めです」と呼びかけている。

「ワインを地元の新たな特産に」と話す熊谷社長

地域にあった品種を模索

 同社では今後も新商品の販売を計画している。中でも日本では珍しい品種「アルバリーニョ」で造るワインに期待をかけているという。アルバリーニョは、リアス式海岸の語源になったスペインのガルシア州リアスバイシャスで多く栽培されている品種。地形や気候など三陸地域との共通点も多いことから熊谷社長は「本場に近いワインが造れるのでは」と話す。

 「ブドウの品質向上を心がけると同時に、この地域に合う品種を模索していきたい。また、私の世代でワインの製造技術を確立させ、次世代に受け継ぎたい」と熊谷社長は展望する。

 商品は同社直売所、市内スーパー、産直のほか、インターネットサイトhttp://0192-55-2222.jp/でも取り扱っている。

今年4月にケルナー辛口を発売。さわやかな味が好評だ


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