[2016年3月3週号 東北営農技術版]
【岩手支局】水田の排水性を確保するための暗渠工事を農家自身が手軽に施工できる技術として、盛岡市の農研機構・東北農業研究センターではトラクターで使用できる「浅層暗渠施工器」を開発した。
麦や大豆、野菜類などを転作する場合、品質低下や減収を防ぐため、水田に暗渠などを施工して排水性を確保することが求められている。施工にはパワーショベルなど重機を用いた大掛かりな土木工事となり、作業委託費を含む施工費用が高額になるなど課題も多い。
東北農研センターでは農家向けに重機ではなく、セミクローラ型トラクター(85馬力以上)を用いて暗渠を施工できるように、トラクター後部に装着させる施工器を開発した。施工器本体は掘削部、暗渠管導入部、もみ殻投入部、暗渠管リールで構成。制作費は1台あたり約80万円と安価で、トラクターの進行とともに掘削から疎水材投入、暗渠管設置の一連の作業が実施できる。コストや労力の軽減も図ることが可能だ。
水田地下に敷設する暗渠までの水の通り道に、もみ殻を疎水材に利用するため資材の調達も手軽だ。
東北農研センターの冠秀昭主任研究員は「所有するトラクターを使って、すぐにでも排水施工ができるので、転作を計画されている方に利用してほしい」と呼び掛ける。東北農研センターでは施工器制作のマニュアルも作成し、公開している。