[2024年10月1週号]
「旬のものを旬のうちに届けるため、完熟のリンゴのみを収穫する」と山崎さん
【宮古市】リンゴなどの果樹を6・5㌶の圃場で栽培している宮古市崎鍬ケ崎の山崎慎弥さん(33)。電気柵の設置のほか、反射シートや空き缶を利用して、鳥獣害の対策に取り組んでいる。害虫となるダニには天敵防除を実施。宮古地域のおいしいリンゴを多くの人に届けるため、栽培管理を徹底している。
「祖父の代から続く果樹農家で育ち、物心がつく頃からリンゴの栽培に関心があった」と山崎さん。長野県の農業大学校で、リンゴ栽培の知識と技術を学び、2014年に就農した。現在はリンゴを中心に、モモやナシなどの果樹を父と栽培している。
四方を山林に囲まれている山崎さんの園地では昨年、カラスやクマなどの鳥獣害が発生した。150万円を超える損失となったという。
園地の外側と内側に電気柵を設置したほか、今年からは空き缶や反射シートを自ら加工して園地内につるすなど、対策に取り組む。「クマに園地への侵入を警戒させるため、捕獲されたクマの皮も園地の外周に設置した」と山崎さん。「今年は大きな被害がなく生育はおおむね順調。できる限りの対策をして、収量を確保したい」と話す。
「漏電などがないように電気柵の点検をしている」と山崎さん
害虫対策に「天敵防除」
害虫防除にも力を入れている山崎さん。ナミハダニなどの害虫の天敵となるカブリダニを活用した「天敵防除」に取り組んでいる。
リンゴの木の周囲に生える雑草をカブリダニのすみかにして数を増やすため、草丈を長く残している。草刈りの時期や回数、雑草の種類にも気をつけているという。「天敵防除をすることで、薬剤散布の回数を減らすことができる」と山崎さん。「リンゴの葉にダメージがあるとおいしいリンゴができない。早期防除が大切」と話す。
収穫したリンゴは、市内の産直や自宅前に設置した販売機で販売している。山崎さんは「宮古地域のリンゴのおいしさを多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。