【新聞:岩手版】イチゴ 環境制御システムを活用 より安定した出荷へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】イチゴ 環境制御システムを活用 より安定した出荷へ

[2025年4月1週号]

 【北部】洋野町種市の明戸剛さん(46)は、ビニールハウス2棟(10㌃)でイチゴの高設栽培に取り組む。温度や二酸化炭素(CO2)濃度を感知して自動で調整する環境制御システムを導入し、栽培管理にかかる手間の省力化につなげた。安定出荷に向けて販路拡大を検討している。

「イチゴ苗も育てている」と明戸さん

 管理を省力 収穫に集中 利用客からの声が励みに

 栽培品種は「おいCベリー」、「恋みのり」、「かおり野」。地面から高さ約1.2㍍、幅約26㌢の高設ベンチで栽培する。昨年9月下旬、高設ベンチの培土に20㌢間隔で苗同士が重ならないように定植した。収穫は12月上旬から今年の6月中旬ごろまで。ハサミを使い、完熟したイチゴを収穫していく。明戸さんのほか、パート従業員2~4人で作業する。

 明戸さん方では、2019年に環境制御システムを導入した。システムを使い、ハウス内は生育適温の20~25度に保つという。ハウス内の温度が25度以上になると、妻面の窓とハウス側面のビニールを自動で開閉。また、ハウス内が10度を下回ると暖房が付くように設定している。ハウス内のCO2濃度が低下すると、光合成促進機が作動。「機械からCO2が排出されて、イチゴを甘くするために必要な光合成を促す」と話す。同システムを導入したことで、収穫作業などに集中できるようになったという。

 ハダニの発生を防ぐため、7日に一度、イチゴ専用の消毒ノズルを使って防除する。「ハダニが付くとイチゴの生育が阻害される」と明戸さん。消毒は株全体と葉の裏側に散布する。

 イチゴは、洋野町にある「たねいち産直ふれあい広場」のほか、久慈市内の産直などへ出荷する。「お客さまからおいしいという声が励みになる。安定して出荷できるように、これからも栽培を続けたい」と話す。


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