[2026年6月3週号]
【宮古】「完全放牧は牛も人も負担が少ないのが魅力」と話すのは、岩泉町小本の差畑忠司さん(70)。「さしはた牧場」の代表を務め、24頭のジャージー牛を飼育している。牛は24時間365日完全放牧。放牧により給餌や排泄物の処理作業が少なく、労働時間が削減されているという。
牛のストレス減少、健康に 給餌や牛舎清掃を省力化

給餌用の木箱
「雨や雪の日でも牛を放牧している。自然豊かな環境で育つ牛たちはストレスが少なく、よく歩くので健康に育ってくれる」と差畑さん。完全放牧は2010年から開始した。牛が自由に放牧地の青草を食べるため、給餌作業は少ないという。青草が不足する時期や冬場は、放牧地に設置している木箱に牧草ロールを入れて給餌する。また、搾乳時には、刈り取った牧草を与えて栄養を補うという。
牛舎は搾乳と生後間もない子牛の世話、削蹄の時にだけ使用している。差畑さんは「掃除をする手間が減った」と笑顔を見せる。また、放牧された牛はよく歩くことから爪が削れて、削蹄はほとんどしないで済むという。
ジャージー牛の1日1回の搾乳は、海外の実例を参考に24年から始めた。「最初は牛が『搾乳してほしい』と近くに寄ってきて苦労した。かわいそうだけど寄ってきても知らないふり。そうすると牛も慣れてくれる」と差畑さん。

商品はカフェで販売するほか、宮古市内で個人配達も行っている
搾乳にかかる時間は約1時間。空いた時間で別の作業をすることができるので、作業効率が良くなったという。差畑さんは「ビタミンやカルシウム、βカロテンなどが豊富に含まれているので健康に良い」と話す。
25年に同町にカフェ「しんろ」をオープンした差畑さん。おすすめは、ジャージー牛の生乳を使用した、さけるチーズとヨーグルトだという。「今後は牛舎を改築して、焼き肉レストランをオープンしたい」と展望する。