【新聞:岩手版】ハウス環境を整え 猛暑でも高品質に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】ハウス環境を整え 猛暑でも高品質に

[2024年7月2週号]

「基本的な作業が遅れないように」と雄次郎さん

 【奥州市】「みずみずしくて健康的なトマトを作りたい」と話す奥州市江刺米里の吉田雄次郎さん(36)。トマトの生育に合わせて、ハウス内に敷くマルチシートの色を、黒から白に変えている。また、こまめに潅水し、猛暑の中でも品質を落とさないように奮闘する。

 吉田さんは2013年に就農し、妻・のどかさん(36)、パート従業員3人と共に、ハウス11棟でトマトを栽培する。主力品種は「りんか409」。4月に定植して、収穫は6月下旬から10月末ごろまで続く。

 「とにかく基本が大事」と雄次郎さん。下葉の除去で風通しを良くし、病害の発生を抑える。「光が当たることで実の色づきも良くなる」。また、実に十分な養分が行き届くように、脇芽は週に一度は摘むという。

 ハウス内に敷くマルチシートは、表面が白色、裏面が黒色で観音開きになっている。「定植後はハウス内を暖かくしたいので、黒い面を上にしている」。夏場は暑さ対策として、白い面を上にする。「白い面は、日光を反射して下からもトマトに光を当てるので、色づきを良くする効果もある」

 水やりには、自動潅水装置を使用する。「去年のような暑さだと、水を切らさないように何回もかけることが大事」。潅水の時間はタイマーで設定する。「1時間に一回、10分ほど水が出る。これを1日に8回行う」

 収穫したトマトは、JAに出荷。関東方面で販売される。「長距離輸送でも傷みにくいように」と、収穫後のトマトを日陰に置くなど、暑さには気を配るという。

観音開きマルチシート。夏場は暑さ対策として白い面を上にする

 硬玉品種のトマト「麗月」の栽培にも試行錯誤中だ。「暑さに強い品種。収量は落ちるが、育てやすくて規格外になりにくい」

 雄次郎さんはトマトのほか、露地でネギ10㌃を栽培する。「今後はトマトを現状維持しながら、ネギの規模を増やしたい」と話す。


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