【新聞:岩手版】ホウレンソウ増収へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】ホウレンソウ増収へ

[2022年5月2週号]

 【東南部】住田町下有住の菊池悠さん(35)は、2021年に同町で就農し、ビニールハウス3棟(10㌃)でホウレンソウを栽培する。就農2年目の今年は、昨年の経験を生かして栽培管理を徹底し、増収を目指して奮闘中だ。

 菊池さんは2019年まで、県内の病院などで理学療法士として働いていた。東日本大震災後に、当時入院していた漁業関係者から仕事がなくなったという話を聞いたという。「地元には就職先が少ないと感じていた。農業なら地元でできて、雇用を生み出せるのではないかと思った」

「加工用のトマトを栽培する計画も進んでいる」と菊池さん

 大船渡農業改良普及センターの紹介で遠野市のホウレンソウ農家を訪問し、栽培方法や農業経営を1年かけて学んだ。「今はインターネットなどでさまざまなことを調べられるが、疑問を農家さんに直接聞くことができて勉強になった」

 昨年、同町で使われていないビニールハウス3棟を借り、小規模で高収量を見込めるホウレンソウ栽培を始めた。

 普段は友人と2人で作業し、繁忙期は菊池さんの両親も手伝う。「昨年は、除草作業に時間を費やしてしまい、最初の収穫がほとんどできなかった」と就農1年目の苦労を話す。

 今年は、除草剤を適期に散布することや、収穫を終えるごとに圃場を耕起し雑草の根を切ることなどの対策をするという。さらに、土に石灰などの有機物を混ぜて地力を上げ、収量を増やそうとしている。

 ホウレンソウは、ハウス内で播種時期を分散させ、通年で栽培。JAや地元の産直、給食センターに出荷する。

 菊池さんは「ホウレンソウ栽培を軌道に乗せ、棟数を増やし、ほかの品目にも取り組みたい。営農規模が大きくなったら、法人化して地元の雇用を生み出せれば」と今後の展望を話す。


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