【新聞:岩手版】丈夫な茎づくりが鍵

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】丈夫な茎づくりが鍵

[2024年6月3週号]

 【一関市】ハウス7棟(18㌃)でピーマンを栽培する一関市大東町渋民の及川浩さん(63)。天敵昆虫による防除や、ハウスの自動開閉装置などを利用した栽培が評価されて、「令和5年度一関地方農林業賞担い手部門賞」を受賞した。脇芽の除去や、枝4本だけを誘引し、丈夫な茎を育てるほか、今年は育苗にも取り組む。

天敵を利用してアザミウマ対策

 浩さんは2011年に就農。「最初は転作田で露地ピーマンを栽培して、2年目からは小ギク栽培も始めた」と振り返る。作業の時期が重なったことから、ピーマン栽培に絞ったという。21年には、県と市の補助事業を利用して3連棟のハウスを建設。潅水設備やハウスの自動開閉装置などを設置した。

 「孫の口に入るものに、なるべく農薬を使いたくなかった」と妻の久恵さん(61)。ピーマン栽培の害虫アザミウマは、天敵のスワルスキーカブリダニを使い防除する。ポリ瓶に入っているスワルスキーカブリダニをまくことで、農薬の使用を抑えているという。また「アザミウマが赤い色を嫌う」と浩さん。ハウスの入り口と開口箇所には赤色の防虫ネットを設置する。

「不在の時の温度制御など、自動制御装置には助けられている」と浩さん

 ピーマンの整枝には特に注意しているという及川さん夫妻。茎が十分に育つまでに付いた花は摘んでいるという。「下に付いた脇芽も取って、丈夫な茎を育てる」と浩さん。有力な枝4本だけ誘引している。「細い枝を作らないように、状態を注意深く観察して品質の向上につなげたい」

 収穫は5月から始まる。浩さんは「夏場はハウスの中が高温になるので、収穫作業は早朝から午前10時頃までにしている」と話す。

 今年からは、ピーマンの育苗も始めた。浩さんは「まだ難しいところは多いが丈夫な苗を育てたい。JAのピーマン部会生産者と意見交換しながら、生産技術を高めたい」と力を込める。


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