【新聞:岩手版】九条ネギに挑戦

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】九条ネギに挑戦

[2021年3月3週号]

 

「地元の先輩農家などを見習って、今後も頑張っていきたい」と村上代表

 【盛岡】八幡平市大更の「合同会社みのり風土(村上博信代表=46歳)」では、ネギの生産に力を入れている。2018年には、京都府の伝統野菜「九条ネギ」の栽培を開始。良品を出荷するため、丁寧な管理を心がけている。

 「以前勤めていた会社で肥料の営業をした際に、ある農家から『自分で使ってみないと説得力がない』と言われ、就農を決めた」と村上代表。同市大更の大規模農家で1年間研修を受けた後、11年に同社を設立した。

 「栽培品目を絞ることで、育苗時の温度をはじめ、細かい生育管理ができる」と、長ネギ(3・5㌶)を中心にネギを専門に生産する。

 18年には以前から関りのあった京都府の会社に勧められ、九条ネギの生産を開始。現在1・2㌶で栽培する。「関西では、夏の猛暑で栽培が難しくなっていると聞く。地球温暖化の影響で、岩手でも温暖な地域の作物も育つようになってきている」

 九条ネギは京都の伝統的な葉ネギで、県内で多く生産される品種と比べ、細身で葉の緑色部分が長いのが特徴だ。「やわらかい食感で、癖がなくうま味が強いため、生のままサラダ感覚で食べるのもおいしい」

九条ネギの圃場(写真提供=村上代表)

 1株に7束ほどが密集して生育し、同じ株から1年間で3回収穫するという。「倒伏してしまうと時間がたつにつれて根本が腐り、収穫できなくなる。強風後は素早い対処が必要。また、ほかの品種と同じように、べと病やアザミウマなどによる食害があるため、均一な防除をするように注意している」

 今後、ホームセンターでの苗販売などを計画するという。村上代表は「先輩たちが頑張ってきたおかげで、岩手の農産物は首都圏でも評判がいい。新しいことにも挑戦しながら、お世話になった人たちに、農業を通して恩返しをしていきたい」と意気込む。


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