【新聞:岩手版】健康な木に満足

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】健康な木に満足

[2024年8月1週号]

 

「病気に強くなったので、薬剤も慣行栽培の3分の1程度しか使わない。薬剤散布の労力が省力化できた」と阿部さん

 【奥州市】「健康な木に育つようになった。病気にかかっても広がりにくい」と話すのは奥州市江刺広瀬でキュウリを栽培する阿部恒久さん(71)。豚ぷんや砕いたホタテの貝殻などを混ぜて作ったボカシ肥料を使っている。「お客さんは生産者名を見て選んで買ってくれている」と話す。

 1973年から専業農家を営む阿部さん。94年にキュウリの栽培を始めた。現在は水稲250㌃のほか、3㌃のハウス2棟でキュウリを栽培する。品種は「まりん」。ハウス栽培に向く多収品種だ。

 「12年ほど前に青森県の業者から肥料の購入を始めた」と阿部さん。4月中旬の定植に向けて、3月20日頃からボカシ肥料を土になじませる作業に取りかかる。15㌔入りの肥料をハウス1棟当たり15袋ほど使うという。阿部さんは「キュウリの実がまっすぐに大きく育つ。食味も良い。自家用野菜の栽培にも使用している」と話す。

 病虫害対策に注意するという阿部さん。「木が弱ると立て直しが難しい。芯の伸び方などから木の健康を判断して、栄養を切らさないように追肥する」と話す。追肥には、ボカシ肥料から抽出した液肥を散水用の水に混ぜて使用するという。

 誘引にはネットを使用する。「一本糸の場合、側枝が下がってくるので影ができやすい。品質にばらつきが出る。ネットを使用することで側枝もすべてネットにはわせるので影になりにくい。品質を安定させることができた」と話す。

追肥には、ボカシから抽出した液肥を活用

 キュウリはJAのほか北上市の産直「あぐり夢くちない」にも出荷。オリジナルシール「恒さんの野菜」を貼って販売している。阿部さんは「5月から霜が降りるまで出荷しているが、木の管理を工夫してもっと長い期間出荷できるようにしたい」と笑顔を見せる。


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