【新聞:岩手版】収量増が魅力

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】収量増が魅力

[2024年5月2週号]

 【奥州市】奥州市前沢でリンゴ1・4㌶を栽培する鈴木均司さん(75)。剪定やわい化栽培など、県内外で学んだ技術や知識を生かして、栽培に取り組む。また、胆江地方農林業振興協議会の協力で、気象センサーを導入。リアルタイムで気象情報を把握して、凍霜害対策につなげていきたいという。

「これまでは5月初旬の開花だったが、近年は4月中に開花する」と鈴木さん

技術習得へ積極的に視察

 昭和初期に祖父の代からリンゴの栽培を始めて、3代目となる鈴木さん。水沢農業高校を卒業後に就農し、現在、妻のせつ子さん(73)と、「ふじ」や「シナノゴールド」など13品種を栽培する。均司さんは「リンゴは栽培技術次第で収穫量を2倍、3倍にも伸ばせるところが魅力だ」と話す。

 リンゴの栽培技術は、同市江刺のリンゴ生産者から指導を受けたほか、青森県藤崎町へ行き、剪定技術や、わい化栽培を学んだ。「楽しみながら、栽培の技術を教えてもらえた」と振り返る。

 

春先の剪定が重要

 「リンゴの栽培で最も重要なのは春先の剪定だ」と均司さん。樹勢を落ち着かせて、収穫しやすいようにする。1970年代から苗木の育成など、本格的にわい化栽培に取り組む。木を小さく仕立てることで、作業の効率化や、着色の向上につなげるという。

園地では常に剪定ばさみを持ち、枝を細かく手直す。「木が小さいと枝や葉の影が実にかかりにくくなるため色付きが良くなる」

 また、リンゴは大体30年前後で改植するという。「収穫までに5年ほどかかるので、早めに計画的に更新する」と均司さん。

 胆江地方農林業振興協議会の協力で、2024年3月に気象センサーを園地に導入した。気象センサーは太陽光発電で稼働し、温度計や風速計、水量計を備える。計測したデータは、スマートフォンからリアルタイムで確認できるという。 

 均司さんは「開花期に霜が当たると障害果の発生につながる。気象データを積み重ねて凍霜害対策につなげたい」と力を込める。


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