[2025年3月3週号]
【胆江北】北上いちご園を営む北上市の片方(かたがた)駿さん(35)。楽な体勢で収穫できる高設栽培を導入して、収穫体験参加者の人気を集めている。また、コロナ禍がきっかけで市内4カ所に無人販売所を設置した。朝収穫した完熟イチゴを販売している。
「朝収穫した新鮮なイチゴを味わってほしい」と片方さん
2013年に就農した片方さん。花巻市のイチゴ農家の下で研修を受けたほか、専門書やインターネットでイチゴ栽培について学んだという。片方さんは「イチゴは定植から収穫まで半年以上かかるので、収入になるまでの期間が長い。初期投資だけでなく運転資金にも苦労した」と振り返る。現在はハウス2棟で、「紅ほっぺ」や「章姫」「おいCベリー」など6品種のイチゴを栽培している。観光農園の営業を15年に開始した。
イチゴは地上から1㍍ほどの高さのプランターを使った高設栽培。「大人の腰の高さとほぼ同じ。子どもの目の前にイチゴが実る」と片方さん。楽な姿勢で収穫ができるという。
収穫体験に参加した盛岡市の柏葉昌宏さん(46)は「娘が小さい時から何度も利用している。娘が喜んでいるようでうれしい」と話し、娘の千代ちゃん(5)も「イチゴがとてもおいしい。また来たい」と笑顔を見せる。片方さんは「高設栽培は主力品種である『紅ほっぺ』とも相性がいい。甘みと酸味のバランスが良く、収量も取れる」と話す。
市内4カ所に無人直売所
21年には市内4カ所に無人販売所を開設した。「新型コロナの影響で観光農園のお客さんが減ったことがきっかけ」と片方さん。用地探しに苦労したが、親戚から土地を借りるなどして開店できた。
片方さんは「無人販売所には、出荷する日の朝に収穫したイチゴを昼ごろまでに届けている。新鮮なイチゴを直売所でも買うことができる」とPRしている。