【新聞:岩手版】就農者を増やしたい

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】就農者を増やしたい

[2023年10月3週号]

「就農に興味がある方はぜひ連絡ください」と千田代表

 【磐井】一関市千厩町小梨地区の農事組合法人こがねファーム(千田幹雄代表理事組合長=73歳)は、通年雇用を視野に「トロ箱養液栽培システム」でミニトマトを栽培する。千田代表は「ハウス内で栽培できる利点をアピールすることや労働環境の整備で、就農者を増やしたい」と意気込む。

 同ファームは、2013年に組合員数124人、経営面積70㌶で設立された。現在、ミニトマト栽培は10・1㌃の3連棟パイプハウス1棟と、1㌃のパイプハウス5棟で取り組む。ミニトマトのほかスイートコーン1・3㌶、水稲45㌶、飼料作物13㌶を作付けている。設立当初は寒締めホウレンソウやピーマンなども栽培したが、土壌条件が合わず収量が上がらなかったという。

 JA全農の指導員に「トロ箱養液栽培システム『うぃずone』を使えば、土壌の条件を問わず栽培できる」と説明を受け、19年にミニトマト栽培を始めた。

 同システムは、発泡スチロール製のトロ箱を栽培槽として利用し、自動点滴灌水装置で養液栽培する仕組みだ。ハウス内の作業を担当する組合員の藤原忠子さん(73)は「点滴する肥料が多過ぎると、裂果するので注意している。使い始めは肥料を調節するポンプの操作が難しかったが、少しずつ慣れてきた」と話す。

 ミニトマトは5月に苗を定植し、7月上旬から11月にかけて収穫する。作業全体で10人ほどが従事するという。

トロ箱から出芽したミニトマトは7~8㍍ほど横にはわせて栽培する

トイレと更衣室設置

 23年7月に野菜選果場を新設し、浄化槽のトイレと更衣室を整備した。「通年で働けないことが就農の障壁になっているのではないかと考えた」と千田代表。「水稲栽培とは異なり、ハウス内のトロ箱栽培は汚れる作業が少なく、通年雇用が可能。こがねファームへの就農を地区外へ呼びかける体制が整った」と力を込める。

 さらに「子育て中のお母さんの就農につながればと、ハード面で労働環境を整備した。今後は労働時間や休みの取りやすさなどのソフト面でも働きやすい環境を整えたい」と意気込む。


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