【新聞:岩手版】排水性の改善へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】排水性の改善へ

[2024年7月3週号]

 【大槌町】今年からブロッコリー栽培を始めた大槌町小鎚の小鎚地区営農組合(藤原市之助組合長=77歳)では、緑肥「ヘアリーベッチ」を栽培してブロッコリーの定植前にすき込む実証実験を行っている。転作圃場の排水対策や、雑草対策、地力向上が期待される。

緑肥「ヘアリーベッチ」

 水稲の転作として、ワラビやフキなどを栽培している同組合。近年需要が高まっているブロッコリーを去年まで水稲を栽培していた圃場8㌃で栽培する。釜石・大槌地域農業振興協議会の協力のもと、ヘアリーベッチを緑肥とする栽培実証も始めた。

 ヘアリーベッチは、根が最長で地下50㌢ほど伸びる。土壌に亀裂を作るため、排水性の改善ができるという。藤原組合長は「この地域の圃場は石が多い。農業機械で暗渠施工ができない圃場でも排水効果が期待できる」と話す。

 被覆力が強いヘアリーベッチは、他の雑草の生長を抑制。また、根に根粒を形成してチッ素を固定する性質がある。そのため、圃場にすき込むことで土壌中のチッ素量が増加して地力の向上も期待できるという。大船渡農業改良普及センターの細越翔太農業普及員は「野菜の前作として栽培することで、土づくりの効果がある」と話す。

 実証圃場では、ヘアリーベッチが圃場全体で均一に生育するように、今年4月に手作業で播種後、トラクターで浅く耕起した。今回は、基肥・追肥をせずに栽培。7月上旬にすき込み作業をする予定だ。

土壌を40㌢程度掘り、作土の深さや耕盤の有無を確認

 ブロッコリーは通常の育苗期間の2倍以上の期間をかけ、灌水だけで育てたスーパーセル苗で定植を行う。

 藤原組合長は「過去に台風で川が氾濫して、川から水をくみ上げるポンプが壊された。水稲の栽培面積が減って耕作放棄地が増えている。排水対策を成功させて、ブロッコリーを増やしたい」と話す。


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