【新聞:岩手版】新規就農 和牛繁殖 経営基盤の確立へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】新規就農 和牛繁殖 経営基盤の確立へ

[2025年6月1週号]

 【胆江南】繁殖牛と子牛を飼育している奥州市胆沢の千葉一樹さん(26)と愛華さん夫妻(23)。繁殖経営の基盤の早期確立を目指し、牛舎内にスマートフォンで確認できる監視カメラを設置し、牛の観察を徹底している。

 「学生時代に親族が飼育していた牛の世話を手伝ったことがきっかけで、畜産に興味を持った」と一樹さん。大学を卒業した後、県立農業大学校に入学し、繁殖から肥育までの生産管理を学んだ。2022年に同校を卒業後、胆沢地域の畜産農家の下で経営について学び、24年9月に就農。愛華さんも勤めながら牛の管理を手伝っている。

「二人三脚で頑張りたい」と一樹さん、愛華さん夫妻

 先輩の存在が心強い

 飼育するのは繁殖牛30頭と子牛16頭。牛舎は廃業することになった肥育農家から借り受けた。一樹さんは「牛舎を建てる費用を大幅に抑えることができた。お世話になった方々が近所にいることはとても心強い」と話す。

 監視カメラで夜間の観察強化 子牛は毎日検温し記録も

天井に設置した監視カメラ。映像はスマートフォンで確認できる

 千葉さん方は、就農時に牛の行動を管理するための監視カメラを牛舎内に設置した。牛舎と自宅は距離が離れているが、牛の動きを検知するとスマートフォンに通知され、夜間でもすぐに分娩の兆候を確認し、対応が可能なため助かっているという。「繁殖牛の飼育は牛の観察を徹底することが大切」と一樹さん。
 生後3カ月未満の子牛は毎日検温して記録している。「観察記録も専用のアプリを導入すると数十万円の費用が掛かる。費用の負担を抑えるため、既存のアプリなどを駆使して工夫している」。そのほか、繁殖用設備がもともと無い肥育用牛舎を借用しているので、親牛が安心して分娩できるような仕切りや、子牛が冬の寒さに耐えられるようにヒーターを新たに設けた。

 一樹さんと愛華さんは「今後は頭数を増やして、規模拡大も視野に入れている。先輩農家のアドバイスをたくさん聞きながら、堅実な畜産経営をしていきたい」と話す。

 


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