【新聞:岩手版】東北一の産地へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】東北一の産地へ

[2024年12月1週号]

 【陸前高田市】ユズの露地栽培の北限、陸前高田市を東北一の産地へ―同市米崎町の「北限のゆず研究会(佐々木隆志会長=65)」では、約180人の生産者とユズの栽培に取り組む。昨年には生産マニュアルを作成し、収量の向上や生産体制の強化を図る。

 同研究会の設立は2013年。きっかけは「株式会社南部美人」が「ゆず酒」開発のため、同市で200年以上もの間栽培されてきたユズの集荷を始めたことだという。現在、約180人の生産者が栽培に取り組んでいる。

 「陸前高田市を含む気仙地域が国内の露地栽培の北限」と佐々木会長。耐寒性があるユズは、温暖な気候の同市での栽培に適しているという。14年以降に導入した系統は「公文系」で、大玉で香りが強く果汁が多いのが特徴だ。

 ユズの産地・高知県から毎年、苗木を仕入れて定植し、現在は約千本を栽培する。定植してから成木になるまで約3年、収穫が安定するまでは約8年かかるという。「成木になるまでが重要だが、病気の発生もなく、農薬も使用しない。管理に手間がかからないのが魅力」と話す。           

 ユズは、11月から12月上旬にかけて収穫。その際、「ゆず狩りサポーター」を毎年募集し、収穫を手伝ってもらっている。「今年は6㌧の収穫を見込んでいる」と佐々木会長。「安定した生産量を維持するため、生産者の確保と継続した栽培管理が課題」と話す。

「ユズは市内の道の駅に出荷している。今後は販路を拡大していきたい」と佐々木会長

マニュアルで生産者育成

 23年には、ユズ栽培の生産マニュアルを作成。収量向上を目的として新規生産者などに配布する。「ユズの栽培を始めるきっかけになってもらえれば」と佐々木会長。毎年3月にはユズの栽培講習会を開催し、生産者の育成にも取り組む。

 佐々木会長は「陸前高田市を東北一のユズ産地にするため、総収穫量30㌧を目標にこれからも栽培に取り組みたい」と意気込む。


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