【新聞:岩手版】渋民を夏イチゴの産地へ

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】渋民を夏イチゴの産地へ

[2024年8月2週号]

「ドローンによる人工授粉の研究にも参加している」と菊地園長

 【盛岡市】環境制御システムを駆使して夏イチゴの栽培に取り組む、盛岡市渋民の「玉山うるおいイチゴ園(菊地潤園長=37歳)」。温度や潅水をスマートフォンやパソコンで管理し、作業負担の軽減につなげた。今年からキッチンカーで「けずりイチゴ」の販売を開始し、更なる収入の確保を目指す。

 「映像制作の仕事で農家を取材した際、農業に興味を持った」と菊地園長。イチゴが好きで、2017年からイチゴの栽培技術や知識を学び、21年に同農園を設立して栽培を始めた。

環境制御システムの説明をする菊地園長

 牧草地だったところを借りて、ハウス4棟(13㌃)で約8千本の夏イチゴ「すずあかね」を従業員とともに2人で栽培する。「冬イチゴは暖房費がかかるため、採算を考えて夏イチゴにした」と菊地園長。夏イチゴは、4月に定植して6~11月末まで収穫する。「夏イチゴは酸味の強い品種が多いが、すずあかねは酸味と甘味のバランスが良い」と話す。主に加工用として生食や冷凍イチゴを業者へ出荷する。

 イチゴの栽培には環境制御システムを導入。ハウス内の温度センサーと外に設置した雨センサーが、温度や雨量を感知してハウスの側面を自動で開閉する。「イチゴは暑くなると防衛本能で自ら花を落としてしまう」と菊地園長。生育適温の10~25度の維持を心がけているという。

 また、ハウス内の貯蔵タンクから1時間ごとにタイマー制御で自動灌水し、温度と同様にスマートフォンやパソコンで管理する。「システムの導入で作業効率が上がり、家族との時間が増えた」と菊地園長。「働くうえでワークライフバランスが一番大切」と話す。

収益確保に加工品も

 今年からキッチンカーを使い、市内外のイベントなどで「けずりイチゴ」の販売を始めた。冷凍イチゴを使用するため、収穫がない時期でも利益が見込めるという。菊地園長は「これからも長く栽培を続けて、渋民を夏イチゴの産地にしたい」と意気込む。

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