【新聞:岩手版】温度・衛生管理を重視

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】温度・衛生管理を重視

[2023年10月1週号]

「菌床ブロック一つの重さが2・5㌔になるように散水する」と菊池さん

 【中部】「自分のシイタケを多くの方に食べてほしい」と笑顔を見せるのは、花巻市矢沢の菊池浩太さん(36)。水稲のほか、2㌃のハウスで菌床シイタケとピーマンをそれぞれ2棟ずつ栽培する。2020年3月にJAを退職し、同年4月に就農。寒い地域に合った品種を選択し、栽培管理を工夫する。地域農業を守るため今後も栽培を続け、加工品販売を視野に入れているという。

 菊池さんはJAに勤めていた際に、顧客のシイタケ栽培を手伝った経験から、興味を持った。「就農初年は栽培の準備を進めながら、シイタケと実家の水稲栽培との合間に栽培できるピーマンに着目して栽培を始めた」と話す。

 シイタケの品種は10月~3月が収穫時期の短期栽培型の「北研607号」。夏場も収穫できる品種は、温度管理のためにクーラーを導入する必要があるなどコストがかかることから、冬場に収穫する品種を選んだという。

 「21年10月にシイタケが大量に発生し、朝から夜中まで収穫作業に追われたことがある」と菊池さん。ハウス内の温度管理をしていなかったため、日中と夜の気温差でシイタケの生存本能が働き、大量発生につながったという。

シイタケ栽培に使うハウスはすべて自分で建て経費を削減した

 「翌年からは断熱シートを使い、気温差を少なくしている」。そのほか、菌床ブロックに散水するための水は貯水して温度を上げて使うという。

 シイタケの収穫・選別の際には使い捨てのビニール手袋を使用し、ハウス内に入るときは長靴を洗浄。近隣で水稲を栽培する法人が圃場で殺菌剤を散布するときは、事前に連絡をもらうなど周囲の協力を得て、ハウス内に殺菌剤が入らないように対策を取っている。

 菊池さんは今年2月に開かれた「全国サンマッシュ生産協議会第33回品評会」で金賞を受賞した。今後は、離農が急速に進む地元の農業を守るため「離農する人の農地の引き受けや規格外品の加工品販売にも取り組みたい」と話す。


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