[2024年11月3週号]
汎用コンバインを使って低速で刈り取る
【花巻市】アワの新品種「いわてあわこがね」の栽培を今年から開始した花巻市の認定農業法人株式会社スリーエー(押切裕代表取締役=59)。少雨や雑草などの影響を乗り越え、圃場では汎用コンバインによる収穫作業が行われた。また、地元の高校生がいわてあわこがねを使用した加工品の開発にも取り組む。
同社の代表をつとめる押切さんは、2017年に就農。現在は法人化して、社員3人、研修生1人、パート3人とともに水稲20㌶、小麦20㌶、大豆10㌶などを栽培する。今年から、いわてあわこがね3・5㌶の栽培を始めた。
いわてあわこがねは、23年に県の奨励品種に登録された。押切さんは「従来のアワ品種に比べて収量は多い。稈長は短いので、所有している汎用コンバインでも収穫ができる。取り組みやすかった」と話す。
「穂がここまで大きく成長すると思わなかった」と驚く押切さん
6月下旬にポット苗で圃場に移植した。「雨が少なくて、枯れてしまった場所もあった。散水して対応できればよかった」と押切さん。晴天が続いたことで、想定以上にアワの稈長が伸びたという。「中耕の時にトラクターに穂が当たって折れてしまうこともあったので、乗用管理機を使うことで穂に当たらず作業することができた」。中耕は3回実施。「今年は雑草との戦いだった」と振り返る。
収穫作業では、コンバインの速度を低速にして、刈取りする。押切さんは「アワは軽いので速すぎると飛んでしまう」と話す。
来年もいわてあわこがねを栽培する予定だ。押切さんは「初期生育の確保や穂が出た後の雑草対策など、今年の経験を生かしたい」と笑顔を見せる。
また、県立花巻農業高校(沼澤信典校長)では、食農科学科の生徒が、いわてあわこがねを使ったマカロンの商品化に取り組む。同科2年の新田愛さん(17)は「地域の雑穀を楽しんでもらえるものを作りたい」と意気込んでいる。